第15話 猛吹雪
私は、今日もリンドラ様の元で働いていた。
仕事を始めてから、しばらく経った後、リンドラ様の手がゆっくりと止まる。
「少し、休憩にしましょうか?」
「あ、はい」
いつも通り、休憩だ。
私は手を止めて、椅子から立ち上がる。
私が立ち上がったのは、外の様子を見たかったからだ。私は窓から、外の様子を見る。
「すごい吹雪ですね……」
「ええ、そのようですね」
今日は、朝から猛吹雪であり、とても天候が悪い。
しばらく経っても、まだ状況は変わらないのだ。
「……サフィナ様、不安ですか?」
「……はい。なんだか、怖くて……」
「そうですか……」
私は、そんな吹雪が怖かった。
かつて私が住んでいた所は、雪とはほとんど縁がなかった。
そのため、この吹雪が不安で仕方ないのだ。もしかしたら、何かよくないことが起こるのではないかと心配してしまうのである。
「無理もありません。このような吹雪、普通は見ないでしょうからね……」
「そうですね……こんな吹雪を見るのは、初めてです」
「しかし、心配はいりません。この地域では、このような吹雪は珍しくないのです。そのため、それに対する対策もできています」
そんな私を安心させるように、リンドラ様はそう言ってくれた。
その落ち着いた雰囲気に、私も少しだけ安心する。
「そうですよね。ここで暮らしているのですから、これくらい対策されていますよね」
「ええ、もちろんです」
という訳で、私は気にしないことにした。
私より、この地域に詳しい人が大丈夫だと言っているのだ。それなのに、私が心配することはないだろう。
少々怖いが、リンドラ様が一緒にいてくれるので、きっと大丈夫なはずだ。
「ただ、この吹雪によって、馬車はこちらに来られなくなりましたね……」
「馬車……あっ」
リンドラ様の言葉で、私は理解した。
吹雪によって、家などに特に影響はない。だが、外からやって来る馬車は来られなくなってしまうのだ。
そのことにより、一人の執事が不幸になってしまうのである。
「ボーダンさんの娘さん、こっちにやって来られないのですね……」
「はい。恐らく、馬車は出ないので、こちらに来ることはないでしょう」
「そうですか……それは、少し悲しいことですね」
「ええ、予定もあるでしょうから、恐らく今回は来られないということになるでしょう」
明日は、執事のボーダンさんの娘さんが帰ってくる予定だった。
だが、この吹雪で馬車はこちらまで来られない。そのため、ボーダンさんの娘さんもこちらに来られないのだ。
ボーダンさんは、かなり楽しみにしていたため可哀そうである。
しかし、これに関してはどうしようもないことだ。自然の理に、人間は従うしかないなのである。
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