オープンカフェ。せかせかと人が動き回っている。

「落ち着かないわね」

「外国映画とは違うからね」

 彼は彼女に言った。ビジネス街。休憩時間も慌ただしいのか。実際にビジネスの話をしているのか。

「人に紛れるにはいい場所だよ」

「そうね」

 彼女が同意する。男はある人物が自分を見ていることに気づく。

「そうでもないかも」

「最近過敏過ぎない」

 女が男に言う。男はこの状況を彼女に伝えるか迷っていた。

「ねえ、今日はコンサートなの」

「そのはずだったんだけどね」

「キャンセルになったらしい」

「見たかったんでしょう、彼女」

 女は会場に張られたポスターを見ている。

「今日は別の人だよ」

「そうなんだ」

「じゃ、何しに来たの」

 彼女は男の顔をのぞき込む。

「ポスターを見に」

 女がポスターと並んで立っていた。

 その時、女は男以外の視線を感じた。

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