Chapter1

10月のメインイベント

新校長・雷之丞

校長室前。


空町「校長? 空町です」


校長「おお、空町君か。お入りなさい」


空町「失礼いたします」


校長「うむ」


校長「実はな……わしは近々、校長を引退する。

 TACTIC部の面倒を見てきた者として、そのことを君には伝えておこうと思っての」


空町「えっ? ほ、本当なのですか……

 では、TACTIC部は――」


校長「まあ、待ちなさい。順を追って話そう。

 わしもそろそろ、魔力の衰えを自覚してな。

 TACTIC部だけでなく、学園の運営もだが、後任に託すことになる。

 

 学園連に所属する、若い優秀な魔導師に来てもらっておるのだよ。

 紹介しよう」


雷之丞「雷之丞・ライラル・ラリーテルと申す。

 君が、空町真知乃くん、だね? ……フ

 よろしく。……フフフ フ」


空町「あ……は、はい……

 よろしくお願いいたします」


長身ですらりとした、美形と言ってもいい顔立ちの整った男だ。

些か派手な魔導師のマントを羽織り、位の高さを示す光るブローチを付けている。

が、何だか目つきはいやらしい。

雷之丞と呼ばれた男は、空町のことを、上から下までねっとりした視線で見つめてきた。


空町「……あ、あの……」


雷之丞「フフフゥ」


校長「おおそうじゃ、それとな、空町君」


空町「えっ はい?


校長「君から聞いていた、ええと、そう、

 TACTIC部にコーチを……という件じゃが、」


空町「!

 は、はい!」


雷之丞「……」


校長「来てもらうことになったよ。

 わしが召喚した。間もなく、到着するはずじゃ」


空町「わっ。本当ですか?

 はい!」


校長室のすぐ隣の魔法陣室に、轟音が響き、それが静まった後、扉が開く。――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る