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「エミさん、ケンタとサキのお父さんてどんな人なんですか」
「どうしたの急に」
「夜一人でいたときに、駐車場に止まったままで誰も降りてこない車があって」
「その話前にも聞いたよね」
「よくあることじゃない。車の中で休んだり、仮眠したり」
「そうなんですけどね」
「その人はずっと降りてこなくて、店の中の様子をうかがっているような感じだったんです」
「もしかしたらエミさんの知り合いじゃないかと思って」
「ちがうと思うよ。ヒロ君も何をしていたのか、ちゃんと見たわけじゃないんでしょう」
「まあそうですけど」
「それでその車そのまま行っちゃったの」
「様子がおかしかったんでゴミ箱チェックするふりをして、そのあと外でタバコを吸っていたんです」
「そしたら男の人が一人降りてきて、火を貸してくれって」
「一人だった」
「多分」
「それで」
「缶コーヒーを買って出て行きました」
「やっぱり仮眠してたんじゃないの」
「そうですかね」
「休みもらったときにカスミと入った店のマスターに似ていたんですけどね」
エミは無言のまま事務室の中に入っていく。
「ヒロ君そんなことはいいから、今のうちに品出ししちゃって」
事務室の中からエミの声が聞こえた。
「ねえタカシ、ヒロさんこっちに来てたでしょう」
カオルはパソコンに向かいながら、パソコンをのぞきに来たタカシに言う。
「そう言えばあいつまだ、あそこにいるのかな」
「ユキさんに呼び出されたの」
「何で」
「妹さんのことで。妹さん同棲をはじめたらしいんだけど、その相手の男の人を知らないかって」
「妹さんその相手の人のことヒロ君って呼んでるみたいなの」
「それでカオルは何て答えたの」
「知らないって言っておいたけど、タカシは知ってるような気がしたって言ってた」
「そんなことないよ」
「ならいいけど」
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