描写から内的解釈
窓を開けると、ゆっくり空気が入ってきた。
「ハワイのノースショアの風みたい」
後ろから弥生の声。たしかに。貿易風なんていう小洒落た名前はないけれど、うっすら冷たい感じがする、この湿った空気は、ノースショアのそれに似ている。
「空も。覚えてる?」
もちろん。ふたりで見た、あの空を忘れるわけがない。頭上は、灰色の雲にドームのように覆われていた。でも遠くの空は、僕たちの将来と同じように、明るく青く澄み渡っていたんだ。
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