午前四時、体温37度1分
春嵐
01
午前四時。体温37度1分。風邪なのか違うのか、微妙に分からないぐらいの温度。
大学。休もうかどうか、迷う。いちおう、ここまで休まずに来ている。
虚ろな日々だった。
高校のときに付き合っていた彼女と一緒の大学に入ろうとして、受験勉強を必死にやって、ちゃんと同じ大学に入った。お互い近くの部屋を借りて、順風満帆な大学生活が始まるはずだったのに。
新歓や新入生の集まりで彼女はしこたま酒を呑まされ、自分がほんの少し目を離した隙に、知らない先輩にお持ち帰りされた。それ以降は、連絡していないし、彼女からも連絡は来ない。
あれだけ必死にやった受験勉強も、むなしいだけだった。結局、授業を真面目に受けるぐらいしかやることがない。
必死に勉強してなんとか受かった大学が、自分の身の丈に合うはずもなかった。毎日ハイペースで行われる授業、そして大量に出される課題。アルバイトをする暇すらなかった。少しでも勉強を怠れば、たちまち成績が下がって留年の危機。当然のことだけど、受験勉強のとき以上に必死に毎日を過ごしていた。
彼女。
今頃、自分の知らないどこかの先輩と、楽しくお酒を呑んでよろしくやっているのだろうか。
自分は、たいして顔もいいわけではないし、勉強もスポーツもできない。毎日、とにかく授業にくらいついているだけの、最下層の人間。
「はあ」
ため息。
もう一度測れば少し下がってるんじゃないかと期待した体温計は、やっぱり37度1分だった。
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