ドキドキ!?天才少女のひとり旅!?

SSS50

第1話 私について 1

生きていて、どこか物足りなさを感じてしまう事はあるだろうか。何が私を満たしてくれるのだろうか。心にぽっかりと穴が開いてしまった様な、そんな日々が続いていた。


それもそのはず、私、榊原 桃香は幼少期から子役として活躍していた。3歳で芸能界に入り、5歳には人気ドラマに子役として出演。日本では知らない人の方が少ないくらいとなってしまった。決して悪い事ではなく、おかげで11歳までは何度もドラマやテレビ、CM等に出演し、賞もいくつも受賞してきた。

レッスンはきつく、自分の時間も無く、友達と遊ぶ事すらままならない状況ではあったが、両親や現場の方が喜んでくれ、褒めてくれるので不満は無かったし、小さいながらに自分がテレビに出ている事の優越感もあった。

この様な生活を送っていては、今の何もない生活がよく分からなくなってしまうのも仕方が無い。


なぜ、今、何もなくなってしまったのか。全ては父の不倫が原因だ。両親はとても仲が良かった。それはもう、娘の私が、親戚が、両親を古くから知る友人が見ても、街中を歩く人々が見ても仲の良い夫婦と思われる位には仲良しであった。

しかし、私が有名になったことで、父にも様々な女性がよってきたのだろう。10歳の頃にあっさりと離婚してしまった。その後、私は母に引き取られ、これまで通り、子役として活躍していた。父親が居なくなり、生活が変わってしまうかとも思ったが、私自身の収入もあったし、母も私の収入を元手に、株などの投資で稼いでいたので、本当に父親が居なくなる以外は何の変化も無かった。また、私もお母さんっ子であった為、それ程ショックは無かった。



しかし、悪い事は続く物である。


離婚から半年後、母は別の男を連れてきた。真面目そうだった父親とは違い、少し悪そうな男で、なんだか嫌だなぁ、悪い方向に行きそうだなぁ、と思った記憶がある。実際に、その予想は的中してしまい、その半年後には新しい男と同居すると言いだした。私は、どうしても嫌で嫌で、それだけはやめてくれと懇願した物の、全く聞き入れてもらえず、最終的には「それじゃ、お前はここでひとりで生活しろ!私は出て行く。子役ももうやらせないからな!!」と言われ、それを最後に関わることは無くなってしまった。


言葉通り、その後は一切家に来ることは無くなり、代わりにクレジットカードとスマホだけが届いた。幸い、料理や洗濯などの一般的な家事は教わっていたので、強いショックと寂しさがありながらも、なんとか生活することが出来た。もちろん、義務教育である小中学校へも、たまにサボりながらもしっかりと通い、卒業することが出来た。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る