ガリ勉の僕が隣の席のギャルから勉強を教えてもらうことになるなんて
@rain1020
第1話 衝撃の事実
キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン
下校のチャイムが校内に鳴り響き、教室がザワザワしだした。足早に帰宅をするものや、部活動の準備を始めるものと様々だ。
クラスではイケイケグループに属する田中さんが、僕の席の近くにやってきた。無論僕になど用事はなく、隣の席の白井さんに用があるのだ。
白井さんは、目がぱっちりで大きく、髪の毛も茶髪に染めている。そして、スカートも短い。つまり、ギャルなのである。うちの高校は、世間一般的にみると進学校であるが、生徒の自主性を尊重する風習がある為、校則が比較的に緩い。そのため、白井さんみたいなギャルのような生徒も何人かいるが、その中でも白井さんは、顔がかわいいため皆からは注目されており、よく誰かから告白されたという噂を聞く。
「美帆~、この間渋谷にオープンしたタピオカ専門店に行こうよ。あそこ凄い人気らしいよ。」
「いいよ~。最近タピオカ全然飲んでいなかったから行きたいと思ってたんだよ。」
「じゃあ、そのあと、昨日公開された田村雄二主演の映画見に行こうよ。」
田村雄二とは、今若者の間で非常に人気のある俳優である。つまりはイケメンだ。僕とは住む世界が違う人間だ。
「ゆかっち、まじでそれ最高。あの映画、田中雄二が主演だから絶対見ようと思ってたんだよね。」
ゆかっちとは田中さんのことだ。田中由香だからゆかっちなのだろう。なんて単純なんだ。
「わかる~、田中雄二カッコよすぎるよね。あ~楽しみ!美帆はテストが近くても私と遊んでくれるからまじで最高。」
「やっぱり、一度きりのJKなんだから遊ばないともったいないよ。よし、帰りの支度できたし行こうか。」
白井さんと田中さんは、はつらつとした様子で教室を後にした。
部活動がある人はしょうがないと思うが、テストが近づいてきているのにそうやって呑気に遊んでいられるのが僕には理解ができない。しかも今年は受験生だというのに。
終業のチャイムから15分ほど経っただろうか。教室には僕以外誰もいなくなった。
僕は、帰宅部であるが、いつもすぐには帰宅をしない。学校で、今日の授業の復習と明日の授業の予習をするため、勉強をしてから帰るのだ。よい点数を取るには予習と復習をすることが非常に大切だと思う。予習をすることで学校の授業をしっかりと理解することができ、復習をすることで内容をしっかりと定着させることができる。
自慢ではないが、僕は学年で2番目に頭が良い。僕は、誰よりも勉強している自信がある。みんなが、遊んでいる時間帯も常に参考書と向きあって勉強をしている。
次の期末試験では、絶対に1番をとって見せる。勉強は裏切らないはずだ。今まで、学年で1番をとったことはないが、1番の人もきっとかなりの努力をしているはずだ。しかし、少し気になることもある。僕は、学年で2番目に頭がいいが、クラスでも2番なのである。つまり、学年1位が僕のクラスにいることになるのだ。僕のクラスで放課後残って勉強をしているのは僕以外にはいないため、塾にでも行って勉強しているのだろうか。誰が僕より点数が良いのだろうか。密かにだが山田や菊池さんが怪しいと睨んでいる。山田や菊池さんはあまり目立つタイプではないが授業もしっかりと聞いているし塾にも通っていると言っていた。
そんなことを考えていると、教室の扉が開く音がした。
「お〜!木下!今日も残って勉強なんて偉いなぁ。」
担任の山口先生だ。山口先生は比較的若く高身長でかっこいいため女子の間では結構人気がある。
「ありがとうございます。次の期末試験では、絶対に1番になりたいたいので今回こそは頑張ります。」
僕は、正直に自分の気持ちを伝えた。しかし、先生は少しだけ困った顔をして、僕に言った。
「木下は努力家だけど、たまには息抜きしろよ。白井なんか、これからタピオカ飲んで映画見に行くって言って張り切ってたぞ」
なんで、急に白井さんの話が出てくるのだろうか。白井さんなんて、授業もあまり聞かないで遊んでばかりだからきっと成績も悪く馬鹿に決まっているに。
「白井さんは少し遊びすぎな気もしますが、、」
「確かにあいつは遊びすぎだな。あいつはいつ勉強しているんだろうな。」
「絶対に勉強してないですよ。授業も聞いている様子もないですし、放課後はいつも田中さんたちと遊びに行っていますし。」
「田中は置いといて、白井は、ほんとにいつ勉強しているんだろうな。そしてなんでいつもあんなに点数が良いんだろうな。」
「白井さんってそんなに頭がいいんですか。」
少し驚いてしまった。まあ、うちの高校に合格するだけの学力があるのだから、容量がいいのだろうか。
「知らなかったのか。てっきりクラスでいつも2番のお前だからそう言った情報は知っていると思ったのだがな。言っていいのかわからないがあいつがいつもクラスでトップだぞ。」
「そ、そうなんですか。」
なんだと!驚きだった。僕は一瞬目の前が真っ暗になりクラっとしてしまった。授業も聞かずに常に遊んでばかりいる白井さんがクラスで1番、そして学年で1番なんて。僕は、なんて先生に返せばいいのかわからなくなってしまった。
「あ、あんまり生徒の個人情報を言うのは良くないから俺から聞いたってことは内緒にしてくれよ。後、たまには白井みたいに遊んでリフレッシュするんだぞ。」
「は、はい、、」
そう言って先生は教室を後にした。
あれから2時間ほど経っただろうか。勉強をしていたつもりだが、全く集中することができなかった。全然内容が頭に入ってこなかった。さっきからずっと白井さんのことを考えてしまう。山田とか菊池さんなら授業も真面目に聞いていて、塾にも通っているから僕より頭が良いと言われても少しは納得いくのだが、まさか白井さんだなんて。白井さんはスカートも短く、髪も染めて、化粧も結構濃いギャルなのになんで僕より頭がいいんだよ。偏見かもしれないがギャルって普通馬鹿のはずでしょ。白井さんと仲の良い田中さんなんて毎回テストで赤点ばかりとっているから白井さんも同じくらい馬鹿だと思っていたのに。なんか裏切られた気持ちだ。
「はぁ~、なんでなんだよ。」
あまりにもショックでため息が漏れてしまった。
もうすでに太陽が沈み、外は真っ暗になっていたため、家に帰ることにした。
「ただいま〜!」
「おかえりなさい。今日も遅くまで残って勉強なんて偉いね。夕ご飯できてるけど、先にお風呂に入ってきなさい。」
お母さんは毎回僕の帰宅を出迎えてくれる。お母さんにとっては、進学校に通ってその中でも上位にいる僕をきっと自慢の息子だと思っていることだろう。
そして、僕もその期待に応えるために勉強を頑張ってきた。けれども、今日で自信がなくなってしまった。
「わかった。」
僕は、適当にお風呂を済ませて、夜ご飯を食べたが、あまりにも今日の出来事がショックであったため、残してしまった。普段ご飯を残すことがないため、お母さんは心配している様子だったが、大丈夫と言って誤魔化した。
ご飯を食べた後は、自分の部屋に行き、机に座って参考書を開いたが、全く集中することができなかった。普段ならば、0時近くまで勉強をして、寝るのだが、今日は22時を回る前に眠ることにした。こんなに早く寝るのはいつぶりだろうか。勉強をしないで寝ることに少し罪悪感を覚えてしまったが今の状態では勉強しても内容が入ってこないためおとなしくおとなしく布団に入った。
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