第4話


「ステータス、オープン!」


 召喚の際に頭へと直接叩き込まれた異世界の知識を持って己の力を示す。

 突然、中空に羊皮紙が現れどんどん文字が浮き上がって行く。


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「ナカジョウ サトル」 レベル 1


基礎能力

生命力 6 

膂力  5

器用  12


スキル

・ウェポンマスター(経験)

・レベルロック

・ステータス不定

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 これがサトルのステータスらしい。それぞれの項目がどのような事を示しているかは理解できる。肝心のスキルについてはよくわからない。どうやらそこまでは知識として与えられていないらしい。


 だが、スキル項目の一番上に表示されているウェポンマスター。ニュアンスからすると強力なスキルの予感がする。


「勇者サトルよ。お主のステータスを拝見してもよろしいかな?」


 相談役のサラディがサトルに呼びかける。ステータスとスキルをずっと見ていたサトルは驚き、身体をビクッとさせる。状況を忘れて見入ってしまったようだ。


「それでは失礼します」


 サラディは中空に浮く羊皮紙を手に取り、王の元へと持っていく。どうやらその羊皮紙はステータスを閲覧するために具現化されたものらしい。


 彼らは先程のサトル同様ステータスの書かれた羊皮紙とにらめっこをして、一喜一憂している。まるで両親に通知表を見られている気分だ。


 通知表? それは一体どんな代物だっただろうか。


「ふむ……もうよいぞ!」


 もういいと言うのはステータスを閉じてもいいと言う事だろう。意識で閉じろと念じると、彼らの手元にあった羊皮紙は存在が薄くなるように透明になって消えて行った。


「ウェポンマスター……勇者に相応しい素晴らしいスキルじゃ!」


 アブラハム王はニッコリと笑いながら言う。王様の太鼓判と言うことは思った通りかなり強いスキルなのだろう。


「ありがとうございます。して、ウェポンマスターとはどのような力なのでしょうか?」

「ふむ、あまりの希少性故にあまり記録には残っておらんのだが、古今東西遍あまねく武器の力を最大限発揮することが出来るスキルであると、伝承には残っておる」


 答えたのはサラディ相談役だ。やはり思った通り強力なスキルのようだ。どんな武器も完璧に扱うことが出来る……いわゆるチートスキルであろう。


「しかし……他のスキルに関してはこちらでも謎が多い。失礼でなければ模擬戦を行い、勇者様の実力をお見せ頂ければと思うのじゃが、どうであろう?」


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