~BEFORE 魔王逃走~

「君はすごい子だよ、ラルフ様。」

「君はまさに魔王だね、ラルフ様!」

「君こそが、魔王なんだよ、ラルフ様。」

「君以外に、誰が魔王と名乗れるのでしょうか、ラルフ様。」


「だからよ……」


「決して魔王の座を誰にも渡すな。」

「それはたとえ君の兄でも。」

「それはたとえ君の姉でも。」

「もしくは君の従姉弟でも。」

「もしくは君の叔父でも。」

「さらに叔母にも。」

「とにかく……」

「君以外に、魔王って名乗れるものは居ない。」


「だからよ……」


「目の前にいるこの魔族を殺そうよ。」

「周りにいる魔族全員の命を奪おうよ。」

「玉座に向けて跪けれない魔族の皆に、死をやろうよ。」

「目の前の魔族は兄だから?いいえ、そんなこと、理由にならないよ。」

「兄だからって、自分の玉座を奪っていいんですか?」

「それはないだろう。」

「殺せ、奴を殺せ。」

「殺せ、すべての家族を。」

「殺せ、すべての反逆者を。」

「殺せ、すべての魔族を。」

「殺せ、すべての存在を。」

「殺せ、生きるすべてを。」

「殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、ころせ、コロセ、殺セ!!!」


「リームお兄様ああああああ!!!」

「な、何事だ!」

(終わり)

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