~BEFORE 間違い?~

  「なぁなぁ、ケンさん。なっちゃん。」

  「なんだ、なんか用か。」

  「……アンタに呼ばれるとロクなことが起きねぇからさっさと済ませてくれ。」

  「これから、うちへ帰るんだろ?」

  「あぁ、俺様と奈だけの話だったけど、それがどうした。」

  「うーん、なんかなぁー」

  「なんだよ、はっきりしねぇな。」

  「なんかなぁ、アイリスティアで、何かが起きそうな予感がするんだよね。」

  「とか言っているけど、起きるかどうかを決めるのも、アンタだろうが。」

  「ひゃひゃ、その通り。つーわけで、そこへ行ってください。」

  「おいおいマジか……人扱いが荒いな、アンタ。」

  「あーでもでも、ケンさんはいかなくていいですよ。」

  「……そういうことか。」

  「うんうん、そーいうこと。てなわけで、頼んだよ、なっちゃん。」

  「はいはい、まったく……」


  「よし、行ったな。」

  「お前さ、そんなに奈のことが気になるなら、いっそ告ればよかったんだろ?」

  「えーなんか、いやですね、それ。」

  「お前な……」

  「ほら、ケンさんも知っているんだろ?私って、臆病ですからね。」

  「断られたら……とか思うのか。」

  「にひひ、その通りなんですよ。いやー神なのに、情けないですねぇ。」

  「本当、情けないな。」

  「あひゃひゃ、ケンさんにまで言われると心が痛みますねぇ。」

  「痛める心があればの話だろ?まったく。」

  「ひゃひゃ、なんだよなんだよ、まるで私が心を持っていないとか言っているようなー」

  「ような、じゃなくてそう言っているんだよ。」

  「まーあながち間違ってはいないけどね、ししし。」

  「まったく……とりあえず、俺様は先にアリアへ行くから。」

  「ほえ?何をしに?」

  「お前な……計画を立てたのはお前だろうが。うちに帰る前は先にそこに調査しに行くんだろ?」

  「あーそうだったそうだった。思い出したわ。じゃあ、行きますかね。」

  「はいはい、やれやれ、こんな奴と一緒に居ると苦労が絶えないわ。」

  「でも、それでいて楽しいんだろ?」

  「だといいんだがな。」

  「ガーン、まさか、面白くなかったんですか!?」

  「どうだろう、そこは自分で考えなよ。」

  「うーぬぬぬぬ……やはりケンさんには勝てないな。」

  「ふん。」


(終わり)

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