19

そこに立っていたのはなんと、おじいちゃんだった。

「おじいちゃん!」

おじいちゃんは戦いの様子を見てギョッとした。

「なんだいったい、わしがおらん間に、殺し合いか」

おじいちゃんは呆れて物も言えないという風だった。

二人の攻撃の手が、止まった。

「な、どうしておじいちゃんが生きてるんだ」

「死んだはずじゃ」

兄と姉は混乱してしまった。かくいう私もそうだ。おばあちゃんまで驚いて固まっている。

「嫌な予感はしたんだよな、しかしここまでとは思わんだ。わしがこの屋敷を出て行った後で、家族で殺し合っておるとは」

攻撃の手は緩んだ。私はおじいちゃんの元に駆け寄った。涙がポロポロとこぼれた。

「おじいちゃん、生きてたの。よかった、本当によかった」

おじいちゃんは私を抱きしめると、みんなに言った。

「さ、みんなでお茶でもするか。話なら、いくらでもできる」

こうして私たちは、お茶をすることになった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る