桜色のウェディング
@orangerescue
第1話
いぇーい、私、城之崎はな、平成元年春
22歳で結婚することになったよ!
お相手は大好きな先生!
先生とは大学病院の新米医師である。
毎日元気に日常をネット配信するのが日課のはな。
とても元気だったはなは、ある日自分が不治の病だと知る。
はなの闘病の様子は毎日ネットで公開された。
根っからの元気娘はなの配信には沢山のファンが出来た。
いつからかはなに励ましの栞が届けられはじめ、その栞作戦は瞬く間に全国にひろまった。
みなさんがおくってくれたしおりを豆細工でつくってみたよ
金属製の小さな板に文字が刻まれて行く。
みんなありがとう
元気になってきたように見えたはなだったが、
ある時はなは肺の病におかされてしまう。
先生は毎日はなのたんを培養しつづけた。
おれが、かならずはなをなおす…
新米医師の恋人の病との闘いが始まった。
はなは待ち続けた。
先生がきっと治してくれる…。
日に日に弱っていくはな。
必死に研究を続ける先生。
…が結婚式前に力尽きてしまう。
病室の床に散らばった豆細工の文字。
ふと気付き拾い集める同級生。
見覚えのある字。
おい、これ!
[まっていたけどせんせいSAYONARA!ありがと]
毎日一文字づつ刻まれたはなの精一杯。
集まっていた同級生たちが誰からともなく叫ぶ。
はなに黙祷しようぜ!
はながそうして欲しいって言っている気がする!
みんな次々黙祷を捧げる。
はな…大好きだよ!
桜色のウェディングドレスが飾られた焼香台には絶え間なく
人の列が続き、
皆はなに黙祷を捧げた。
明るくて元気なはなはみんなの人気者だった。
城之崎はな
享年に22歳
冬
先生の懸命の研究によりその数ヶ月後、治療法がみつかる。
はな達が乗るはずだったと特別な電車が、ホームを滑り出す。
結婚式スペシャル電車。
はなの夢だった電車だ。
ありがとう!はなー!
みんなの叫び声が響き渡る。
はなの事は一生忘れない。
桜色のウェディング @orangerescue
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