第2話 カフェの店長

 いらっしゃいませ。あれ、随分久しぶりだね。


 ちょうどさっき、新しく仕入れようと思ってたチーズケーキの試作品が届いたんだけど試食してみない?うんうん、それといつものコーヒーだよね。


 いやー本当に久しぶりだね。そうか、ちょうど期末考査の時期だもんね。


 今日はカウンターに座りたい?珍しいね。え?僕に聞きたいこと?ああ、例の事件のこと?僕だってこんな田舎町で殺人未遂なんて物騒な事件が起きてびっくりしてるんだよ。


 しかも、うちの喫茶店から徒歩5分圏内なんだもの。警察にも事情聴取されたけど、僕はずっとこのカウンターに立っていたもんだから大した情報は持っていないんだけど…。


 え?あぁ、事件が起きた時間?確か22時半すぎって言ってたかなぁ。あぁそうそう、この喫茶店、夜はBARとして営業してるんだ。半分趣味みたいなもんなんだけど。


 被害者?いや、僕は被害者の顔までは…。え!?まきちゃんが!?しかも記憶が…。


 それは大変だったんだね。


 加害者の情報は本当に持っていないのかって?さっきも言ったけど、僕は1日中ここにいるんだ。外で起きていることは分からないよ。たまに休憩で外に出る時もあるけど…。あの日は佐々木さんとのお話に夢中だったから。


 この店は君たち含め、昼も夜も常連さんだけしか来ないんだから、怪しい人や見ない顔がいたら覚えてるはずだろ?


 ふぅ…。もうこの話はやめにしない?ちょうどコーヒーも出来たから少し落ち着きなよ。


 とにかく気をつけなね。犯人はまだ捕まっていないんだから、寄り道しないで明るいうちに帰るんだよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る