第20話 新たなエリア
魔王軍は火山を抜け、新たなエリアに足を踏み入れた。
そこは広い青空が広がり、枯れ果てた大地が広がり、そこら中に墓が立っている。
「まさか、新しいエリアって」
「墓地。アンデット、ホラー系のフィールドだな」
魔王軍は目の前に広がる墓地に向かって歩く。
「これいきなり地面からモンスターが飛び出してきたりしませんかね?」
「街に入ったわけじゃないからな、普通にあり得るだろうな」
「アンデット系統のモンスターは物理攻撃の通りが悪いので面倒ですね」
「そうだな。俺の鎌は物理も魔法行けるからいいが、キョウとケンは……」
「あぁ、一応変えておくか。『獄炎の大剣』」
「そうですね。『
キョウはオレンジ色の大剣を、ケンは青い鞘に納められた刀を取り出す。
ケンの持つ『魔刀』は物理攻撃でありながらその攻撃は魔法攻撃になる。
「これで良し。他にヒメとミサは魔法があるし、ソラは……ってソラ、ミサどうした?」
キョウが後ろ向くとソラとミサがぴったりとくっついて歩いている。
「いえ、何もありませんよ?」
「お姉ちゃん動きづらい」
ミサはいつものような笑顔をしているが、決してソラから離れようとしない。
「もしかしてミサさん、アンデット系苦手ですか?」
「!?い、いえそんなことないですよ」
ヒメの言葉に一瞬肩を上げたが、すぐにいつも通りのミサになる。
「ふむ。ですがこれまでのイベントアンデット系統の魔物はいましたよね?」
「確かに。そういう奴相手にはミサさん何ともなかったな」
「……それでミサ結局どうなんだ?」
一同の視線を受け、ミサはいつもの笑顔を崩し、ため息を吐きながら話始める。
「別にアンデットが苦手なわけではありません。ただ、こういった雰囲気というか、突然出てくるのが……」
ミサの言葉に魔王軍一同は「あ~」と納得したような声を出す。
「まぁ苦手な物は仕方ない。戦闘は俺たちに任せてミサは……っ!?」
キョウが話している途中で、魔王軍を囲うように地面から腕が生えてくる。
「ひっ……」
ミサは突然現れた手に驚き、目を瞑りながら杖を構える。
「おい、ミサ?」
「【セイクリッドレイン】」
ミサはキョウの言葉も聞かずに、大量の光の光線を降らす光魔法、【セイクリッドレイン】を発動させる。
無造作に降り注ぐ光は地面から生えてきた腕を一瞬で消滅させた。
「お姉ちゃん落ち着いて」
「はぁ、はぁ。すみません。少し、取り乱しました」
ソラに手を握られてミサは息を荒げさせながら正気を取り戻す。
「気にしなくていい。けどいくら最初の敵とはいえ一撃で倒せたんだ。やっぱりアンデット系統には光魔法が有効だな」
「それならミサさんには防御や支援じゃなくて攻撃に徹してもらった方がいいな」
「えっ、あの、ジェイさん?」
「そうですね。我としても切りごたえの無さそうな物を相手にするのは気乗りしませんでしたし、ミサ殿に頼めるならばありがたいです」
「ケンさんまで!?」
「大丈夫ですよ。ミサさん」
「ヒメさん……」
「……ちゃんと私も戦いますからね!」
「えぇっと。それならヒメさんだけでいいのでは――」
「何を言ってるんですか!「聖女」ミサに勝る光魔法の使い手はいませんよ」
ヒメの言葉に一同は頷く。
そんな中ソラはミサの手を掴む。
「ソラ……」
「お姉ちゃん。……ガンバ!」
「ソラぁぁぁ~」
枯れ果てた大地に、情けない聖女の声が響いた。
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