呪われた勇者
りこ
第1話 プロローグ
「......」
「魔王...。貴様、最後に言い残したいことはあるか...?」
魔王は不敵に笑い、勇者を睨み付ける
「言い残すことはない...。我の負けだ。」
戦いの末、立ち上がる力もなく荒野に仰向けに倒れている魔王。すぐ側では、数多の傷でボロボロになった鎧を纏う"無傷"の勇者が魔王に剣を向けている。
「貴様は強すぎだ...。たかが人間一人。我の力を持ってしても傷ひとつ付けられんとは...もはや勝てる道理などあるわけがない。」
「...我も疲れた...トドメを刺せ...。」
勇者は剣を振り下ろす。
ーーー
勇者は誰に聞いてもらうわけでもなく、どこか遠くを見てつぶやく...
「誰か、俺を殺してくれ...」
ーーー
魔王を倒した勇者は荒野を歩き続ける。魔族の手から救った命の数を数えるために。
どこに行っても人の気配はない。
勇者は知っていたのだ。この世界が既に滅んでいることに。救う命さえ残っていないことに。
勇者は歩き続ける。魔族が蔓延るこの世界を。
自分を殺してくれる者を探しに。
勇者という"呪い"を絶ってくれる者を。
呪われた勇者 りこ @Lycorit
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。呪われた勇者の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます