第5話 友達
月曜日から金曜日まで七時間目までの授業があり、土曜日は十二時まで行う四時間目までの授業があった。出雲は魔法の授業に比重が高いが主要教科目もそれと同じくらい比重で学ぶようであった。
「結構授業は大変だな……それでも属性魔法を使えるようにしたいし、魔法以外も勉強しないと!」
出雲が意気込んでいると、龍雅と藍が生徒達に話し始める。
「これで説明は終わりです。 明日から通常の学校生活が始まりますので、みんなで楽しく学校生活を送りましょう!」
「藍先生が言った通りです。 これから学校生活が始まります。 明るい未来を掴んで欲しいです」
「そうだ。 明日の一時間目はロングホームルームで自己紹介や色々な説明をするから、自己紹介で緊張しすぎないようにしてくださいね」
龍雅と藍が出雲を含めた生徒に話すと、全員が分かりましたと返した。
「自己紹介緊張するなー」
「俺自己紹介苦手なんだよぉ……」
「私も自己紹介緊張し過ぎちゃうわ……」
何人かの生徒が声を上げていると、出雲も頑張ろうと考えていた。
「俺も自己紹介頑張らないと…‥どう言えばいいのかな? 何を言えばいいのか……」
出雲も悩んでいると藍が今日は解散と言った。その声を聞いた生徒達はありがとうございましたと言って各々仲良くなった生徒と話していた。出雲も何人かと話そうとするも、中々話しかけることが出来ないでいた。
「あっ、その……あぁ……話しかけられない……」
出雲が落ち込んでいると、クラスメイトの一人である男が出雲に話しかけてきた。
「黒羽出雲だっけ? 確か試験の時にいたよね?」
話しかけられた方に出雲が振り向くと、そこには短髪で出雲と同じくらいの身長をしている清廉な顔つきのクラスメイトがいた。
「俺の名前は東堂大和って言うんだ。 面接試験会場で会ったよね?」
「試験会場……あっ! 集団面接の時にいた! 少し話したね!」
「やっと思い出してくれたな! 久しぶり! 一緒にこの学校に通えるようで良かったよ!」
「帰り際に一緒に通おうって言ってたよね!」
出雲は話しやすい人が同じクラスにいて安心をしていた。二人の話を聞いていた何人かの生徒は、東堂大和という名前を聞いて東堂グループの御曹司だと驚いていた。
「あの男って東堂グループの御曹司だぜ?」
「まじかよ!? 大企業の御曹司もいるってこの学校の凄さ半端ないな!」
男子グループがそう話していると、大和が出雲に一緒に帰ろうと言った。出雲はありがとうと言って一緒に教室を出て行く。その会話を出雲は聞いておらず、ただの同じクラスメイトとだと思っていた。
東堂グループの名前は出雲は知っているが、東堂という名前は全国各地に同じ名前の人がいるので、まさか目の前のクラスメイトが御曹司だとは思っていなかった。
「出雲って面接で言ってたけど属性魔法が扱えないんだって?」
「そうなんだよ。 淡い白色の光を纏って生まれたみたいなんだけど、当てはまる属性がないみたいで使える属性魔法がないんだよ」
「そうなのか……でも、誰かしら使える属性魔法があるから出雲も必ず使える属性魔法があるよ!」
「ありがとう! てか、出雲って呼ばれてびっくりしたよ」
出雲がそう言うと、大和は驚いてごめんと言った。
「急に呼び捨てにしてごめん! なんかそう自然と口から出て!」
「いや、そう呼んでくれてありがたいよ! 一気に距離が近づいた気がする! 俺も大和って呼んでいい?」
「当然!」
「ありがとう!」
二人はそんな話をしながら駅に入り、帰宅していく。出雲と大和は電車のの進行方向が逆であり、駅で別れた。
「じゃ、俺はこっちだから! また明日な!」
「おう! それじゃまた!」
出雲と大和が手を振り合って電車に乗り込むと、出雲は空いている席に座った。そして、電車の窓から国立中央魔法学校高等部を見つめ始めた。
「本当に入学したんだな……夢みたいだ……」
そう呟きながら窓から見ていると、次第に見えなくなっていく。出雲は国立中央魔法学校高等部が見えなくなると、前を向いて最寄り駅に到着するのを待った。
駅に到着すると、そこには奏が駅前で立っていた。出雲がその姿を見つけると、奏の名前を呼んだ。
「奏! こんな場所でどうしたんだ?」
「あっお兄ちゃん! お兄ちゃんを待ってたんだよー。 ここにいてば会えると思ってね」
奏は小走りで駅の階段を下りてきた出雲の側に駆け寄った。出雲は荷物を持とうかと話しかける。
「荷物重いでしょ? 持とうか?」
「一人で持てるよ。 お兄ちゃんの方も重いだろうし、大丈夫だよ!」
奏がそう出雲に言うと、ありがとうと出雲は返答した。二人は学校のことをお互いに話すと、奏が受験面倒くさいなと呟いていた。
「奏も国立中央魔法学校高等部に入るといいよ! 絶対楽しいよ!」
「そうねぇ……でも入学試験厳しいじゃない……」
そう奏が言うと、出雲は小さく笑っていた。
「俺でも合格出来るんだから、奏も絶対合格出来る! 必ず出来る!」
「ありがとうお兄ちゃん! 私も国立中央魔法学校高等部を目指してみる!」
「応援するよ! 何か困ったことがあれば相談してな!」
二人はそんな話をしながら家に到着した。家に到着すると出雲と奏は自室に戻り寛ぐことにした。出雲は寛ぎながらもらった教科書類を見ることにした。どのような内容なのか、どのような魔法を習うのか気になっていたからである。
「五教科の教科書以外に属性魔法基礎理論や属性魔法論、武器を用いた戦闘と書かれた本がある。 その他には魔法史や基本属性魔法、基本属性魔法戦闘ってある」
出雲は多種多様な教科書に驚きつつも、自身の属性を早く知りたいと思っていた。
「俺は現代の魔法に適正がない不適格者か……俺の扱える魔法は一体なんだ……」
出雲は魔法の教科書を見ながら溜息をついていた。面接にいた人やいずれ魔法が使えないことを知った学校の人達が、出雲のことを不適格者だと呼ぶだろうと少なからず考えていた。
「御手洗先生が何か知ってそうだった気がする。 面接の時に御手洗先生に属性魔法を扱えないことを言ったら、何か知ってる風だったけどな。 明日聞いてみようかな」
そう考えながらベットに寝転がっていると、いつの間にか寝てしまっていた。そして夕食の時刻まで寝ていると、楓が夕食が出来たことを出雲に伝えるために起こしに部屋に入った。
「出雲ー出雲ー! 夕食よ! 早く起きなさい!」
「なぁに……今何時……」
楓が出雲の右頬を軽く叩きながら起こすと、出雲は今何時なのか聞いた。すると楓が十八時よと出雲に伝えた。
「もうそんな時間!? 凄い寝てた!」
「夜寝れなくなるわよ? お父さんも帰ってきてるから早くリビングで夕食を食べましょう」
そう言われた出雲は食べると元気な声で言い、楓と共にリビングに降りて行った。リビングでは既に正人と奏が椅子に座って出雲と楓が来るのを待っていたようである。
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