昨今、とても流行っている乙女ゲームの悪女への転生。ですが、この作者さまの作品は一味も、二味も変わります。
この『いつか王子様が』は転生ではなく、転移小説です。
もちろんのこと、主人公のエルメラは顔も姿も違う人物ですが、確かに中身はゲームの前に座っていた日本人。
ですが、この作品には現代社会で得た知識を利用しようとする少女は存在しません。ただ、ただ自分の気持ちに正直にいようとする、乙女ゲームを楽しんでいたはずの彼女の姿です。
それまではゲームの主人公として悪女から王子を奪う存在だったのが、多くの男性陣に囲まれながらも、王子を奪われる悪女への転移。
しかし、その悪女にも心があり、その他の男性キャラクターにも心があるのだと気が付き、心を揺らせ、悩ませる乙女の姿を細かい心情描写と、ロマンチックなエピソードに乗せて表したのが、この作品です。
乙女心をキュンッキュンッ言わせたい、貴女! 女性心理をお勉強という貴方!
是非とも一読の作品です。