第36話 ダンジョン攻略3日目

 そして、3日目。

 俺達はギルドの転移陣にやって来た。

 ちなみにここに来る前にジュリエット嬢からは、

「きっと、今日もをひきますよ。使徒様!」


「いや、俺が当たりをひいたのは昨日だけですって。初日はキョウコさん達がひいたんですよ」


「フフ……楽しみです。あ、そうそう戻られたら、ギルドマスターから話をしたいと言伝を預かっております。もし、不都合なければよろしくお願いいたします」


「はい。では戻りましたら、時間を作りますので」


「では、お気をつけて」

 ジュリエット嬢が惚れ惚れするお辞儀で、見送ってくれる。まるで、見送りしてくれる若奥様である。


 ジー

 やめよう。妄想するだけでミキとユイが怖いっ!!


 そして、俺達は入場転移陣に足を運ぶ。

「第一階層、第二階層、第三階層の中から、どちらに移動されますか?」


「選べるのか?これは、助かるな。皆、第三階層でいいか?」


 キョウコさんの問いに、皆が頷く。


「良し。では、第三階層で頼む」


「承知しました。では、皆様を転移させます。照合スタート……確認。パーティーメンバー全員を第三階層へ転移させます」


 眩い光と共に、浮遊感が全身を包み込む。

 転移を意識した次の瞬間には、足は地に着き、新たな部屋へ転移した。


 ここが第三階層か。赤い光を放つ石材で構成された部屋のようだ。


「では、ゆくぞ!今日は、昨晩話をした通りの順に戦闘を行う。

 まずは、あたし、イズミ、ユウキが、そしてその後はタカト、ミキ、ユイの3人だ。

 待機組みはフォローに回る。いいな?」


 さあ、第三階層の探索スタートだ。順調にいけば今日で、依頼達成いけるかもな。


 そして、俺達は順調にダンジョンを先に進む。

 第三階層では、槍を持つ豚の顔を持つ《オーク》に、空中を飛ぶ蝙蝠タイプの吸血モンスターである《ブラッド・バッド》が出現した。


 オークに対しては、ユウキとキョウコさんが中心に近接戦闘で、危なげなく勝利していく。ブラッド・バッドに対しては、イズミの魔法中心で容易に撃ちぬいていく。

「《ライトニング・アロー》」

 無数の光の矢がブラッド・バッドを容赦なく撃墜していく。


 そして、俺達3人はさらに問題ない。

 3人共に魔法が使える。そして近距離は俺とユイが、中距離と遠距離をミキが担当する。ちなみにミキは近接もイケる。


 俺達三人の主な武器は、このような構成だ。


 タカト・ミヤモト。魔力を帯びた切れ味が凄まじい《日本刀》、女神教の洗礼を受けた聖なる力を宿す皮製の《軽鎧》、そして神器である《黒炎衣》


 ミキ・ナルカミ。魔力を矢にして撃ちだす魔力次第では《魔弓》、女神教の洗礼を受けた聖なる力を宿す布製の《軽鎧》、さらに補助武器として魔力を帯びた切れ味が凄まじい《薙刀》


 ユイ・ミヤモト。魔力を帯びた炎と氷の属性をそれぞれ持つ《双刀》、女神教の洗礼を受けた聖なる力を宿す皮製の《軽鎧》


 俺達3人での実戦戦闘はこれが初めてである。だが、何も問題ない。俺達は付き合いも長い。

 さらに女神の加護持ちの影響か、簡単ではあるが簡単な意思疎通ができる。何となくイメージが共有されるのだ。

 実際にこうなったのは、女神魔法 太陽光ソーラー・レイを3人で放つ時のイメージ共有がだろう。


 だから、お互いにどう動くか、どのように連携するか容易である。

 実際、オークも、ブラッド・バッドも瞬殺である。魔法を使う必要が全くない。


「やはり、おまえ達3人の連携は凄まじいな、声もかけずに連携できるのが羨ましい」

 キョウコさんが感心している。同時に少し呆れている。


「まあ、幼馴染だし、兄妹だし、義姉妹ぎりのしまいみたいなものだし。付き合いが長いですからね、俺達は」

 。この俺の発言にミキが照れながらも嬉しそうだ。本当に可愛いやつだ。


 ―――――――――――――――


 モンスターの討伐も進み、ダンジョンの終わりが見えてきたようだ。

 いま進んでいる通路の奥に、豪華な扉が見えてきた。おそらくはボス部屋であろう。


 討伐数 118/100(魔石96/100)

 ※炎獅子の魔石×21は、ブラックホールで消滅。

 ※獄炎獣ケルベロスの魔石×1は、ブラックホールで消滅。


 不慮の事故ブラックホールにより、魔石が残り4個足りない。


「最悪、ボス倒したら、周辺の敵を討伐して、魔石を100個にすれば良いですね」


「そうだな。それでいいだろう。正直、ボスは無理に倒さなくて良いんだけどな」


「でも、倒したいんでしょう?キョウコさん」


「ま、まぁな。やはりこの世界に来て少々変わってしまったようだが、今は強くなりたい。だからその経験が詰めるならと、そう思ってしまう」

 少し照れながら、語るキョウコさん可愛い。でも、色気が出てるからエロい。


「いいじゃないですか、俺も戦いたいです」

「イズミも戦いたいです」

 ユウキにイズミもやる気だ。


「それを言うなら、私も戦いたいな。だって私とユイは、ボス戦未経験だし」

「そうそう、ミキちゃんとわたしだけ、ボス戦してないのですよ!」

 おっと、ミキとユイもやる気だ。そういえばボス戦未経験だったな。


「じゃあ、俺以外の五人でボス戦やってはどうです?」


「「「「「!?」」」」」

 俺の提案に驚く5人。なんでや??


「いや、いや別に無理に分れなくていいでしょ?俺達全員でパーティなんだから」


「ま、まぁそうなんだが、ミキとユイとあたし達では実力差があるからな……」


「では私とユイは、サポート中心で立ち回ります。それでどうです?」

「そうですね、危ない時には、攻撃介入しますけど、5人でやってみませんか?」


「そうだな、せっかくのパーティなのに、無理に分かれて戦う理由もないものな」

 キョウコさんも5人でのボス戦に乗り気になったようだ。


「では、ボス戦に臨むぞ!!」

 キョウコさんの号令に、皆が力強く頷く。


 さあ、第三階層のボス戦の始まりだ!



 ―――――――――――――――

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