妄想の日々 96年(平成8年)

 この年に、Windows95版に対応したライディ1と2が発売されている。


 正確にいつだったかは忘れたが、私が中学生の頃であるのは間違いない。、どこかのアニメショップに寄った際に、ライディの攻略記事が載っていた攻略本を見つけて、ワクワクしながら買ったのは憶えている。


 二年前に欲しい、と思ったあのエロゲーの情報が、より細かく手に入るなんて、夢のような心地だった。


 本の内容は、充実していて、自分にとっては実に満足いくものだった。


 4階のバーサーカーに犯されるシーンでは、そのCGとともに、「ライディちゃんによる目の保養」的な文章が添えられていて、それがちょっとグッと来たりしたものだ。


 最初は雑誌で、簡単にしか情報を与えられていなかった自分は、この攻略記事を読んで、さらにライディのことを知り、ますます実際にプレイしてみたい、と思うようになっていった。


 いま思えば、かなり楽しい日々だった。


 友達を家に招いて、みんなで夜通しバイオハザードをプレイしたり(96年3月、ライディ2のWindowsが発売されたのと同じ月に初代バイオは発売された)、修学旅行でファイナルファンタジーⅦのコスモキャニオンの曲を友人と熱唱したり、そんな風に好き放題、遊びたいだけ遊んでいた。


 自分が通っていた中学は、高校へエスカレーターで進学できるので、受験勉強をすることもなく、やりたいことやって、のんびりしていた時期だと思う。


 そんな中で、満たされないものはあった。


 とにもかくにも、ライディがやりたい!


 買ったとしても、パソコンが無いから遊べない環境。それでも、欲しくて欲しくてたまらなかった。


 そうして高校生になり、大学受験の気配が徐々に濃厚になる中、ライディのことは再び忘れかけていた。自分の人生を決める大一番を控えているというのに、エロゲーどころではなかったのである。


 ……が、見つけてしまった。


 たまたま寄ったソフマップ新宿1号店で、ライディのWindows95版を。


 欲しい。でも、いま買っている時期ではない。そもそもまだ一八歳になっていないし、高校卒業しないと買えない。


 そんな葛藤の中、売り切れないことを祈りつつ、受験が終わったら高校生であることを隠してでも買いに行くぞ! と心に誓っていた。

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