第九話 

「またこうして集まったのには訳がありますの」


 部活メンバーが部室に集まって1番に口を開いたのは、やはり美桜先輩だった。


「また桜玖さんの下駄箱にこんなものが入っていましたの」


 そう言って写真をみんなに回している。


 現在は放課後。そう、下駄箱に写真が入っていた日の放課後だ。あの後、色々周囲を警戒していたが、特に怪しい人との接触はなかった。写真以外はいつも通りの日常といっても過言ではなかっただろう。


 そんなことを考えているうちに、隣から写真が回されてくる。


 何度見ても鳥肌が立つ。それに背筋に寒気すら覚える。一体僕が何をしたと言うのだろうか。何か悪いことでもしたのだろうか?いや、それはないだろう。だって僕は極力周りの人と接しないで生きてきたのだから。でも逆にそれがいけなかったのかもしれないとも考えられる。


 全員が写真を見たことを確認したのか、美桜先輩が手を叩いて注目を集める。


「それじゃあもう一度、昨日に引き続き何か意見がある人はいませんか?昨日の案は引き続き継続するとして、他にも案があると尚のことよろしいのですが」


 美桜先輩は心配そうな表情で周囲を見回す。


 今回ばかりはすぐには案は出てこなかった。僕はみんなの顔を見てみると、一人一人が一生懸命考えてくれていることがわかった。僕はそのことに対し、胸がじんわりと温かくなるのを感じた。


 少ししてから一人の少女が手を挙げた。


「あら、雫さん。何か意見がありますか?」


 美桜先輩がそう言うと、一斉に雫の方向へと視線が向けられる。僕は雫が手を挙げるとは思っていなかったので、少し驚いた。それから座ったまま、雫は静かに口を開く。


「写真を撮られてる、ということはつけられてるということ。それならそれを利用すればいい」


 相変わらず口数が少ないなぁ、と思いながら頑張って雫の言葉を理解しようとする。


「具体的には何をすれば良いのでしょう?私にはあまり考えつきませんわ」


「出かける」


「え?」


 みんなの頭上には大量のハテナマークが一斉に量産される。


「雫、もう少し具体的に言ってもらってもいいか?」


 僕はあまり理解できなかったので、雫に答えを求める。


 すると、また雫は静かに口を開き始める。


「簡単に言ってしまえば、デート。誰かが桜玖と出かけてみればいい。そうしたら犯人がもしかしたら後をつけてくる可能性がある。だから桜玖ともう一人のデート相手が周囲を気にしながらデートをすれば、もしかしたら犯人を見つけられるかもしれない」


 長く話しすぎたのか、雫は小さく息を吐く。


「確かに、そのやり方ならいいかもしれないね!でも、誰がデート相手になるのかな?」


 あいりが疑問に思ったことを口にする。


「その役割は、身内である私がやります」


 そう言って立ち上がったのは椿だった。


「えぇ〜、私も桜玖とお出かけしたいな〜。椿ちゃんだけずるいよ!」


 あいりも立ち上がり、椿に食ってかかる。二人が睨み合っていると、大きく手を叩く音が部室内にこだました。


「はいはい、そこまででしてよ。二人が桜玖さんと出かけたいのは分かりましたわ。それなら公平にじゃんけんといきましょう。もちろん私も参加しますわ」


 美桜先輩は拳を前に突き出す。それに合わせてあいり、椿も拳を前に突き出す。それから控えめに雫も手を前に出した。


「それじゃあいきますわよ」


 みんなが一斉にコクリと頷く。


「「「「じゃぁーんけーん、ぽん」」」」



結果は.....



            To Be Continued

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