第一章

「あぢーっ」

 登校時間直後の高等学校の教室。

 ホームルーム前の朝一の談話に包まれる教室内に、陽子の「あぢーっ」も含まれて流れた。

 この高校へ新一年生として入学して一ヵ月半ほど、既に口癖として定着した感のある「あぢーっ」をいいながら、彼女が半袖の制服の上着を少しはだけさせてぱたぱた空気を入れている。

「昨日は大活躍だったらしいねヨーコ?」

 そんな「あぢーっ」な彼女に、前の席の女の子が訊いた。前席の子は横を向いて座って、後ろの彼女に顔を捻って喋っている。ちなみに彼女は長袖である。

「だいかつやくー? ――ああ」

 ぱたぱたを続けながらの陽子の返答。

 昨日、部活動を終えて下校中だった陽子は、川沿いの道路で騒ぎが起こっているのに気付いた。何ごとかと思い行ってみると鉄車怪人の出現、しかもその手には幼い女の子が捕らえられていた。

 周りには住民がいたが、普通の人間には敵う相手ではないのは分かっているので遠巻きに静観するのみ。もうすぐ陸保か水保の戦車はやってくるだろうけど、人質がいる場合はうかつに発砲できず、増援を呼んでの長期戦になる。

 だから誰かがあの子を助け出さなければ。そう思った陽子はいても立ってもいられずに飛び出した――というのが昨日の顛末。

「やっぱり怪人って強いね。ボクみたいな普通の女の子じゃ全然敵わないよ」

 その際に痛めた右足首を上から擦りながら陽子が言う。

「ふつうの、おんなのこ?」

「そこ強調しない」

 前席の女の子の突っ込みに、陽子が更に突っ込みの上書き。

「普通の女の子は、まず怪人に突撃をかけるようなことはしないと思うけど?」

「そういわれるとなにもいいかえせないねーっ!」

 陽子にしても狼人おおかみびととしては普通の女の子のつもりなのだが、狼人として持って生まれた高い身体能力を信じての昨日の展開ではあったので、そういわれると何もいえない。

「ヨーコってさ、普段から普通の女の子として暮らしたいっていってるような気がするけど本人自らそれをぶち破ってない?」

「……そういわれるとめんぼくない」

 何をして面目ないのか分からないが、とにかく陽子は面目ない表情になっている。

「そんだけ大活躍してりゃ噂を聞きつけて、そのうちモモタローとかやってくるんじゃないの、俺と一緒に来てくれ的な勧誘に?」

 そんな狼人の少女に、前席の彼女は花の女子高生の話題としては少し渋すぎる題材を持ち出してきた。

「いきなりファンタジーな話だね? ……っていうかさ、ボクいちおう狼なんだけど」

「でも熊とか亀とか連れてくワケにはいかないじゃない? モモタローなんだし?」

「そうだけどさ……でもモモタローが来るぐらいなら、そこには犬女とか犬男とかいるんじゃないの、設定的に?」

 ファンタジーな質問にファンタジーな答え。設定ってなんだ?

「じゃあ何でヨーコんちの苗字は最初の一字に『犬』って付いてんのさ? ボクを連れてけといわんばかりに」

「それはうちのオヤジに聞いてくれこんちくしょーっ!」

 陽子――犬飼陽子いぬかいようこは犬歯を剥き出しにしながら叫んだ。

(しかも犬を飼うってどんだけ犬飼ってたんだろううちの先祖は……)

 綺麗な銀髪を揺らしながら陽子が溜め息交じりに思う。

 髪以外にも制服の裾から伸びる手足を覆う綺麗な銀の毛も特徴的だが、それ以上に印象深いのは彼女の顔だ。

 人間の骨格と犬科の骨格を足して二で割ったような顔で、口の辺りが少し出っ張っている。そして頭頂部には耳がお約束のように生える。ワイルドな容姿とさらさらとした毛並みの愛らしい容姿を併せ持つそんな彼女。

 その容姿――特に顔の造作は狼人の中では超美少女なのではないかと思われるが、彼女は普通の人間に囲まれての生活なので真価は全く発揮されていない。

「でもさぁ、それが人助けであるならちゃんと行くよ? 犬の代わりとかじゃなくてさ」

 昨日の大立ち回りを見ても分かるように、 こう見えても町中で困っているご老人でもいれば、普通に手を貸す彼女である。大体は彼女の顔を見た瞬間、老体の身体能力以上の力を発揮して逃げ去ってしまうのだが。

「それに鬼って、昔は悪の象徴みたいな描かれ方だったけどさ、今ではそういうのとか無くなって、逆に鬼の子供が自分の父さんはモモタローに殺されたとかそんな話があるような時代になってるじゃない」

 裾のぱたぱたを再開しながら陽子が言う。たまに開きすぎて胸が大きく見える時があるが、そこにも毛はびっしりと生えているので、やはり暑い。昨日は陽子に抱かれていたヒトミが暑さで目を回していたが、実は本人が一番暑いのである。あの時は陽子自身は緊迫感が先行して自身の暑さを忘れるほどだったのだろう。

 ちなみに本日の制服の下は上半身は肌着の類などなんにもなく、ノーブラにパンツ一丁。入学したての頃はさすがにきっちり下着もちゃんと上下着込んで登校していたが、徐々に夏に近づくにつれ「暑くてやってられるかーっ!?」と、ブラは脱ぎ捨てショーツもローライズな「半ケツ上等!」の物を中に穿いてくるようになった。まがりなりにも女子高生がそんな格好では公序良俗の問題もあるが、いまだに教師陣からはなんのお咎めも無い。彼女の小中での生活ぶりは高校教師達も聞いているだろうから、今更いってもしょうがないのは最初から理解しているのだろう。

 本来なら陸上の練習日(といってもほぼ毎日だが)であるならば中に陸上女子用のレーシングウェアを着てくるのだが、本日は遅刻ギリギリだったのか未着用である。起きてそのまま制服だけ引っ掛けて出てきたのだろう。

 ちなみに衣替えにはまだ早い季節だが、彼女はゴールデンウィーク明けには自主的衣替えを済ませていた。他の生徒は前席の彼女も含め長袖だ。

「今じゃそんなことになっているのに、それでも仲間を集めて鬼退治に行こうっていうなら相当な理由があるんだろうし、それが快楽的殺傷とか強奪とかじゃなくて、ちゃんとした正しい理由があるんだったら代わりについていっても良いかなとは思う、そこに犬女がいないんであれば」

「報酬がきび団子でも?」

「う~ん?」

 それはさすがにちょっと困るなーと、陽子が腕組みして考え込む。

「ヨーコも中々ファンタジーだよね、考え方」

「だって自分自身の存在がファンタジーだもん既に」

 ヨーコが諦め気味に答えた。

 受け答えの前に、自分自身がそのカテゴリーに属してしまっている。なんでこんな血筋に生まれてしまったのか。それよりも、なんでこんな血筋が存在するのか?

「ねぇ」

「うん? なに、ヨーコ?」

「ボク、汗臭くない、すでに?」

 前席の女の子は陽子にそう尋ねられると彼女の体に顔を近づけて、スンスンと軽く鼻を鳴らした。

「汗……というか水っぽい匂いはするけど、そんなに酷くないよ、まだ」

「そうか、ありがと。今日は急いでて朝シャンできなかったからなー」

 陽子も自分で腕を鼻の前に持ってきて、改めて匂いをかいでみた。自分自身の匂いは良く分からないものだが、とりあえず酷いレベルでは無い様子。基本的には早起きな彼女だが、昨日のこともあったので緊張感が解けた後は、疲れが出て寝すぎてしまったのだろう。

「お昼休みに部室のシャワーでも浴びてくるかな。ついでに服の中ユニフォームにもなっておきたいし……って今日は調理実習あるんだっけ、じゃあシャワー浴びてもこのままか」

「難儀な体だねぇ」

「まぁファンタジーを地で生きるってことはこういうことだから」

 暑そうに服のぱたぱたを続けながら陽子が言う。

 彼女の周りには常に熱気が満ちている。それはヤル気に満ちた覚悟の気持ちとかそんなのではなく――いや、彼女自身にも人一倍のヤル気はあるのだろうけども――ただ単に彼女の周りだけ気温が上昇しているのである、その体熱で。

 だから人は彼女のことをこう呼ぶ。

 灼熱の犬飼さんと。

「あぢーっ」


「お、ボタンが取れそうだねぇ、ボクが縫ってあげようか?」

 授業間の休憩時間の教室内。

 学ランのボタンの一つをぶらぶらさせながら前を歩いていた男子生徒を、席に座って次の授業の準備をしていた陽子が呼び止めた。

「え? 犬飼そんなんできんの?」

 指摘された男子が驚いたように振り向く。犬飼陽子にそんな風にいわれたらその容姿とは別に、年がら年中走ってばかりの陸上女がそんなことできるのかと普通は思う。

「裁縫は結構得意なんだよボク」

 陽子はそういいながら教科書を取り出していた通学鞄の中から今度はソーイングセットを出した。この針やら糸やら詰められた道具は女子が必ず携帯している物の一つともいわれているが、それは伝説上の話なので実際に持ち歩いている女子は極端に少ない。

 陽子は「ほら、貸して貸して」と半ば強引に相手の上着を脱がせると、それを膝の上に置いて繕いを始めた。

「……犬飼って結構上手いんだなそういうの」

 裁縫用小型はさみでボタンを一端切り離すところから、針に糸を通して縫い始めるまでのあまりにも無駄の無い動きを見て、男子生徒が思わず口にする。

「へへへ、意外でしょ? でもまぁ必要性にかられての上達なんだけどね」

 銀色の毛の生えた指でちくちく針を回しながら陽子が答える。

「うちの家系って尻尾が生えてるじゃない? それをパンツやらズボンやらに通す穴を開けなきゃいけないわけでさ、それがまた面倒くさいんだよ」

 腰の後ろに尻尾が生えている人間なんて彼女の家系の者しかいないので(他にもいるのかもしれないが陽子は今のところ知らない)自分たちが穿ける下着や下半身用の衣服は売っているはずもないので、必然的に自ら用意しなければならなくなる。

 というわけで陽子はそれこそ小学校で家庭科の授業が始まる前の年齢から、自分のショーツやスカートに穴を開けて尻尾に合わせて縫い直すということをやっていたので、裁縫に関してはかなりの腕前である。ボタン付けなど朝飯前だろう。

「まぁ高校に上がってからはローライズ系のパンツばっかり穿くようになったから下着の穴あけもあんまりなくなったけど」

「今もそんなの穿いてんのか?」

 話の流れでなんとなく自然に男子生徒はそう訊いてしまったが

「ん? 見る?」

 陽子の方もあまりにも自然な流れでそう答えた。裁縫の手を一端止めて、スカートの裾を軽く掴む。彼女の場合、教室内の気温に耐えられない時は男子が居ない方角(一応)に向かってスカートをぱたぱたさせているのも、あまりにも日常の光景になってしまっているので、そんな流れでいっているのだろう。

「お、おまえ……女が男にそう言うのもセクハラなんだぞ……」

 それでも男子生徒は自制心を全開フルパワーで回転させると、なんとかそれだけ口にできた。陽子は普通の女の子とは少し違うが、だがしかし女の子にそんな風にいわれてしまったら素直に頷いてしまうのも年頃の男の子の選択肢の一つになってしまうのは仕方ないが、彼はなんとか踏み止まった。将来になって「あの時見ておけば……」と悔いた述懐をすることになるだろうが、今はそれが正しい選択肢だ、少年。

「あはははは、そうだねごめんごめん――と、はいできた」

 一端止めた動きを陽子は再開させるといくらもしないうちにボタン付けを完成させた。本当に鮮やかな手捌きだ。

 陽子は立ち上がると男子生徒に少し横を向いてもらって彼の背中に出来上がった学ランを被せた。なんでそんな位置関係でそんなことが簡単に出来るかというと、陽子の方が彼よりも背が高く腕も長いからだ。

 それから陽子は折りたたみ式の毛取りクリーナーを取り出すと、自分の毛が付いてしまった部分を軽く払った。なんだか非常に丁寧な仕草に見えるが、毛の取り扱いに日々悩まされている彼女にとっては普通の行動なのだろう。黒い生地に銀色の毛は非常に目立つ。もしかしたら彼に学ランを被せてあげたのは彼を毛取り作業時のトルソー代わりにしたかったからだけなのかもしれない。

 しかし当該の男子生徒はそんなことをされたのは始めてなので少し顔が赤くなってしまった。

「『犬飼は良いお嫁さんになれるな』とか思ったりした?」

 男子生徒の頬の色を目ざとく発見した陽子が訊く。

「……」

 男子生徒は上着の袖に腕を通しながら真剣に考えた。普通の人間からしたら彼女の顔の造作がどれほど優れているか分らないのだがそれでも可愛いとは思うし、プロポーションも陸上をやっているだけあって抜群である。そして今見せてくれた裁縫の腕が女性としての細やかさもあることを示している。性格にしても気さくで明るく優しい。

 しかし、犬飼陽子という少し普通から外れている女子生徒が嫁にしたい理想の女性像なのかと問われると――それは物凄く難しい領域の質問のような気がする。

「……う~ん?」

「そこはお世辞でも良いからうんっていいやがれこんちくしょーっ!」


 昼休みが過ぎて午後からの家庭科の時間。本日は調理実習。

 午後からの実習ということで、必然的にお持ち帰りを考慮したお菓子作りになる。

「相変わらず午後実習の時はバニラエッセンスの香りが凄いね」

 教室に充満する甘い匂いを吸い込んだ生徒の一人が言う。各班のテーブルには必ず一つずつバニラエッセンスのボトルは置いてあるはずなので、その全てから匂いが漏れ出しているのだからやはり凄い匂いだ。

「それ系の香水付けまくり女子が一人紛れ込んでるって訳じゃないとは思うけど……でもやっぱり凄いねこの匂い」

「バニラパフュームが買えないからって台所に転がってるバニラエッセンス振りかけてくる女もいるって聞いたことあるけど、それで匂いがプラスされてるじゃないの本物のバニラエッセンスの?」

「マジで!? アリ寄ってくんじゃん!?」

 そんな風にして女子がきゃっきゃと騒ぐ中、ヤル気無さ気な男子がぞろぞろと入ってきて(共学であるからには男子も女子も授業は同じようにこなされる)最後に陽子が入ってきた。

「相変わらず調理実習の時のヨーコは重装備だよね」

 その教室内への入室が、ジャージであるのを除けばこれからオペに望む医師のような物々しさであるのにクラスメイトの女の子の一人が突っ込んだ。

「だってこうでもしないと毛が入っちゃうからね」

 陽子がマスクの奥で苦笑する。

 今の彼女は普段は体育の授業でも陸上部の練習でも着たためしがない学校指定のジャージを上着もズボンもちゃんと着込んでいる。

 こういった家庭科の授業時など人前で料理をしなければならない時は、肌が露出しないようにきっちりと着込んで自分の毛が入らないようにしている。手は医療用であろう薄手のビニール手袋。口には前述のマスクなのだが彼女の口は出っ張っていて、しかも普通の人間の耳が彼女には無いので、後頭部で紐を縛るタイプのものを自作して付けている(こんなところにもお針子技術は生かされているので、本当に彼女の裁縫スキルは無駄に高い)。頭には三角巾で、耳の部分が少し上に膨らんでいるのが陽子さんスタイルである。

 もっとも冷房が完備された部屋でなければこんな格好は無理なので、そのような設備が無い中学時代での夏場の授業など「ボクには無理!」と過去には辞退したこともしばしば。家庭科の授業中に教室内で一人で待機という中々に悲しい局面も何度かあった。一人自習の間に刺繍を施したハンカチなど何枚あることか。

「それにボクのは銀髪だからすぐに分っちゃうし」

 自分の作業班のテーブルに向かいながら陽子が言う。ボタンを付け直してあげた男子生徒の学ランも彼女の毛が付着すると嫌がおうにも目立ったが、元々彼女以外の生徒の頭髪は殆どが黒なのである。その中に銀色の毛が混ざっていたら一発で身元はバレる。

「では今日はフルーツクッキーを作ります」

 生徒全員が所定位置に揃ったところで教師の号令で授業開始。

 余程校則が厳しくて偏差値が激高の学校でもない限り、この年頃の子供たちに授業内作業で複雑なことをさせても害はあっても利は全く無いので、作るものはオーソドックスにクッキーである。少し複雑なところといえば中に入れる果物を切るくらいだろうか。しかしそんな簡単な作業ですら高校生という生き物は失敗をするわけで

「あいた!」

 さっそく一つのテーブルから悲鳴が。

「だいじょうぶ!?」

 救急箱を持って家庭科教師がすっ飛んでいくと、そこには銀色の後ろ髪の女子生徒が。よりによって陽子が失敗していた。

「だいじょうぶ犬飼さん?」

「あーだいじょうぶです。すぐに血も止まります。傷ももうすぐふさがりますね」

 陽子はそういいながら切った方の左手の手袋を脱いだ。もう既に血の流れは止まっており、調理実習用テーブル脇の水道で指を洗うと、傷口もどこにあったのか分らなくなっていた。

「すごいわね」

「一応狼女ですし、これぐらいは」

 家庭科教師はそれを見て安心すると、何事もなかったかのように教卓に戻っていった。

「同じ家庭科なのに裁縫は得意なのに料理は下手って不思議なもんだね」

 陽子と同じ実習班の女子生徒が、左手を予備の新しい手袋にはめなおしている陽子に言う。

「まぁ練習あるのみだからねぇこればっかりは」

 陽子の裁縫の腕もそれだけ量をこなしているからこそのものなのでそればかりは仕方ない。それに一流と呼ばれる調理人でも指を切る時は切る。

「でもいっくら切ってもすぐに治っちゃうのは羨ましいなぁ。包丁の練習し放題じゃない?」

「そう? でもやっぱり狼人おおかみびとの血が流れているから、銀製の刃物とかで切ったらエライことになるよ」

「え? そうなの?」

「銀製の食器とかでナイフあるでしょ、もしあんなので指とか切ったら全然血が止まらなくなるんだよ、ボクらの家系ってば」

 陽子の血筋である狼人は傷の再生速度など驚異的身体能力との引き換えに、弱点が非常に多い。銀製の武器で大ダメージを覆うというのもその中でも典型的なものだろう。元々が血を分けてもらった神狼しんろうから能力を受け継いでいる犬飼家の血筋なので、やはりその弱点も継承されてしまっている。

「大変じゃない!?」

「まぁ元々が月見たらヤバイことになる本物の狼男と同じような血が入ってるんだからその辺は仕方ないよ。それに自分の家に銀製の食器とか置いておかなければ良いだけだし」

「じゃあ銀の弾丸とか入った拳銃を持った人がヨーコの家に押し入ったらもう大変なことに」

「銀の弾丸とか入った拳銃を持った人自体が普通はいないっての」

 なにをいっているんだこの子はという感じのジト目で陽子が答える。銀の弾丸など漫画みたいな話だが、自分自身も漫画の登場人物のようなものなのでそこまでは突っ込まない。

「それに銀を弾にして撃つにしてもね、火薬の熱で銀が溶けちゃったりして駄目なことも多いよ? 今の時代でも溶けない特殊銀弾を作れる職人さんってまだいるのかどうか」

「ヨーコってばすっごいくわしいね?」

「命懸かってるからね、自分ファンタジーな生き物ですし」

 漫画の登場人物のような彼女であるので漫画に出てくるような物も良く知っている。その気になれば町中で普通に売っているシルバーリングをはめた指で殴りかかったりすれば、陽子にはかなりのダメージを与えられるわけなのだ。日常にも意外に危険は多いので、知識を高めておくのは確かな安全予防策である。

「さって、続き続き」

 陽子がフルーツを切るのを再開すると、班の他のみんなも各々の作業に戻った。


 その日の放課後。

「ほんとヨーコってば陸上やってる時って楽しそうだよね」

「だって、もぐ、この格好のままで、もが……ずっと過ごせるからね……普段着にしたい、むぐ、くらいだ、よ、春、夏、秋、は」

 本日の授業が終了して部活動の時間帯になって、陸上女子用のビキニ型レーシングウェア姿となった陽子が、校庭に向かいながら同じ部員にそう答える。最近のユニフォームは体にぴったりでも通気性に優れるものが多いので陽子は非常に気に入っている。本当は普通の下着が一番楽なのだが「中に着ていればどこでも脱げる」というのが、お気に入りポイントらしい。痴女? そう指摘されると返答に窮する。

 ちなみに台詞がなんだか途切れ途切れなのは、家庭科の授業で作ったフルーツクッキーを、その自慢の犬歯で噛み砕きながら歩いているからである。はしたないですね。というかこれから走ろうって人間がそんな乾き物をボリボリ食べまくってて大丈夫なのか?

「冬でもそれの上にポンチョでも羽織れば十分なんじゃないのヨーコなら?」

「むぐ、ん……正解!」

 ちなみに彼女は小学校で部活動が始まる四年生からずっと陸上部である。陽子は胸とお尻しか隠れていないこの露出度高めなユニフォームでいつでも過ごしたいがために、小学校からずっと陸上部に入っていた。他の部員は練習中は夏でもジャージでいる者が多いが、陽子は年がら年中これである。

 陽子自身は小さい頃から背が高かったので(現在174cm)バレーやバスケへの勧誘は耐えないが「あんな蒸し暑い体育館の中であんな暑苦しいユニフォーム着て動き回れっかーっ!?」と毎回ぶち切れる。小中高の体育館施設に冷房など期待してはいけないのだ。ちなみにビーチバレーに誘われた時には「殺す気か!」と手がつけられないほど癇癪を起こしたという。確かに直射日光降り注ぐ砂地に毛の生えた生き物を放置するのは「死んで♪」といっているようなものだ。

「じゃ、アップ行ってくるね」

 クッキーを全部腹に収め終えた陽子はそう言い残し、校庭のトラックへとランニングに出た。ストレッチ代わりの軽いものだが、それでも6年に及ぶ走り込みで築いた見事なフォームで足を運ぶ。彼女の走る姿は本当に美しい。

 が、しかし、ユニフォームを上から押し上げる胸や、筋肉がたっぷり詰っていそうな綺麗に張り出したお尻といい、彼女は陸上選手としても女性としてもほぼパーフェクトなプロポーションをしているのだが、その手足(今はお腹も見えているが)を彩る美しい毛並みの所為で、さっぱり目の保養になっていないところがガッカリポイントである。こんなに露出の激しい健康的美人が走っているというのに、男子生徒の一人も気に留めない。

 ちなみにお尻の少し上からは尻尾が生えているので、走るたびにポニーテイルのように揺れている。髪の毛で人間の後頭部に再現された小型馬の尻尾ではなく、腰から垂れ下がる本物のウルフテイル。

 陽子の家系は――遠い先祖の話であるが、とある理由により長命であることが必要となった。何かを未来に伝えるための力が必要となったのだろう。それも極力世代を変えないで時を越えられる血の長さが。

 常識を超えた長寿の必要性をかられた当時の犬飼家の人々は、当時近くに住んでいた神狼と呼ばれる巨大な狼の血を借りることにした。この種は人間から動物へと体を変態させることが可能な変身型亜人ライカンスロープの祖と呼ばれるものであり、人語を解し人のように動ける狼である。

 その神狼から血を分けてもらえることになり、犬飼家の先祖はその血を取り込むこととなった――が

(まんま狼人間誕生ってオチはあんまりだよねぇ……)

 走る陽子が心の中で不平を漏らす。

 彼女の祖先は神狼の血を受け入れることには成功した。目的である長期間を生きられる命を手にもした。

 それにも関わらず、満月の夜に力が溜まり過ぎて凶暴になりその果てに変身して自我が消失してしまうようなこともなく、日中の時間帯が苦手ということもなかったのだが、その容姿が狼男(狼女)に固定ということになってしまった。それも全て寿命を延ばすことに体質を極限まで変化させた結果であるという。

 狼の容姿を持った人間体――変身をしない狼人間というのも西洋地域とされる場所の伝承や民話には出てくるので、その種族と同系統なのだろうと陽子も思うのだが、なんだか微妙に納得がいかないのもある。変身型亜人のように日光が苦手ということはないのはありがたいのではあるが。

(いや、今でもうちの家系は昼間は苦手だな……夏は)

 日光を浴びたらいきなり灰になることはないが、夏場はその暑熱で死ぬる思いはする。何しろ全身に毛が生えており、しかし他の動物のように裸で生活をするのは許されないわけだ、基本的には。

 ちなみに陽子も亜人類の血が流れているとはいっても、倒れてまで走ることができるわけでもないので、夏場のあんまり酷いカンカン照りの日は陸上部は休みにしたりするし、八月はほぼ全休である。その時期は水泳部に入れば良いのではと思われがちだが、犬猫の類が泳ぐのが不得意であるのと同じで、その体毛が邪魔して彼女もまた泳ぎは苦手である。

「おーい、いぬかいー、アップ終わったら道具持ってくるの手伝えよーっ」

 記録用のファイルやボードを抱えた陸上部顧問の体育教師がトラックを走る陽子に声をかけた。

「――あ、はーい、あと一週終わったら、すぐいきまーすっ」

 練習道具を用意するのは後輩である一年生の仕事なのである。陽子は遅いと怒られる(走るのも用意も)のもなんなので、ピッチを上げると最後の一周を早々に終わらせた。


「――はっ!」

 気合一閃、陽子がスタートラインから飛び出す。目の前には高く掲げられた一本のバー。自分の側面をバーに向けるようにカーブを描きながら目前へと駆け進む。

「うぉーりゃぁーっ!」

 そしてバーの手前で更なる気合の叫びを上げ、体を捻りながら跳んだ。宙に見事な螺旋を描く。その背中の下をギリギリのラインでバーが通過していく。よし、今回はいける――そう思った時

 がすっ

「あ」

 その衝突音に陽子も含め、その場にいた全員が「あ」と唱えた。掲げられたバーは陽子のお尻で揺れるもの――尻尾の付け根に当たってフックから外れた。

 見事な背面跳びを見せた陽子が頭からマットに落ちるのに続いて、バーも落ちてくる。

「犬飼、アウト」

 高跳び棒の脇でボードを持って立っていた体育教師が、結果を無情に告げる。

「むぅ~、今日はいけると思ったんだけどなぁ」

 マットの上でぐるんと後ろへ一回転した後にペタンと座りながら、バーの無くなった高跳び棒を見上げる。横棒の無くなったフックの位置はかなりの高さだ。

 高校一年女子の標準記録くらないなら陽子は普通に跳べる。その際は生えた尻尾をかわしながらの跳躍であるのでかなりのジャンプ力である。今はそれ以上の挑戦をしている訳だ。そんな高い記録に挑めるのは、彼女には本物の狼の血も入っているのでその恩恵はあるけれど、やはり小学校から続けている練習の成果も大きい。何ごとも日々の努力の積み重ねがモノを言う。

「……まぁ落ちちゃったもんはしょうがない」

「よっと」といいながら立ち上がった陽子が、マットを降りながらお尻の方に手を回してジャンプと着地の際に食い込んでしまったユニフォームを直している。女子がそんな仕草をすれば、それに気付いた男子がもれなく振り向くものだが、それが全身銀色の狼女だと知れると「なんだ灼熱の犬飼さんか」と、何事もなかったかのように直前までしていた行動に戻る。というか練習中でもこのレーシングウェアを着ているのは陽子くらしかいないので(普通は試合本番の時くらいしか着ない)「通常の練習中にお尻の食い込みを直しているのは犬飼陽子くらい」というのはほぼ全員が知っているはずだが、それでも振り向いてしまうのはやはり男とは悲しい生き物である。

「やっぱり尻尾がぶつかっちゃうね」

 同じ走り高跳びの練習中である陸上部三年の先輩が陽子の隣に来て言う。

「陽子のジャンプ力ならベリーロールでも行けるんじゃない? 片足ジャンプで世界を目指してみるとか?」

「いや、ベリーロールだと今度は鼻と口が当たっちゃいそうで」

 陽子が少し前に出っ張っている顔の辺りをさすりながら言う。補足するならば胸も多分当たる。

 ベリーロールはバーを体で巻き込むようにして跳ぶので確かに飛びやすい姿勢だが、やはり片足しか使えないのである程度までの高さまでしか跳べない。自分の体に蓄積されている全力を懸けるなら、両足で踏み込んで背中からバーを越えなけれなばならない。しかしそうなると陽子には腰の下から生える尻尾という、凄まじく邪魔な体の部位が存在するわけだ。

「難儀な体だねぇ」

「まぁファンタジーを地で生きている女ですから、仕方ないすねぇ。尻尾切っちゃうわけにもいかないし」

 小さい頃から尻尾をなびかせながら走っているので、尾も使ってバランスを取っている。だから今の陽子から尻尾をなくしてしまったら、走ること――いや、歩くことすらできなくなるかも知れない。

 そんな風に悩む陽子の目前を、走り高跳が本日の練習メニューの生徒が次々とバーに向かって走っていく。今回は高記録保持者の練習回であるので陽子も含まれている。低位上位で分けるのは、毎回ジャンプするのに棒の目盛りを変えるのが面倒くさいからだ。

「さて、次は私の番」

 隣にいた先輩は軽くその場で何回か跳び上がってアップすると、スタート位置に走った。

「行ってらっしゃい先輩」

 陽子も次の出番に備えて腕を伸ばして体のストレッチをしながら送り出す。

 三年の先輩はスタートを切るとそのまま軽やかに体を捻り、バーを越えた。陽子と同じ高さ。そしてバーは落ちてこない。

「……」

 自分が失敗した高さを軽く超えていく先輩の姿を見ながら、陽子が何ごとか考えるようにお尻から生える尻尾を軽く掴む。普通の人間には無い、自分だけ――自分の家系にだけあるもの。

 これがある所為で損をしているものも多いけど、得をしている部分もある。それにこれは自分の体の一部なのだ。全身に生える毛もそうだし、狼のような顔もそう。何の因果かこうやって授けられてしまった体なのだから、自分は自分としての頑張る方法を見つけるしかない。

「……」

「次、犬飼」

「――!」

 体育教師の呼び声が陽子を現実に戻す。

 考え込んでいても仕方ない。まずは今まで以上に早く走って、これまで以上に高く跳ぶしかない。今できることを今やらなければ。

「犬飼、いきます!」

 また自分に順番が回ってくると、陽子はスタートラインへと駆けた。


「あぢーっ」

 川沿いの道を歩いている陽子が、水面へと下弦部分を浸し始めた太陽に向かって制服の襟をぱたぱたさせながら言う。

 部活終了後にシャワーももう一度浴びてクールダウンをしてはいるが、やはり体の芯に残る熱は中々消えないものであるらしい。特に彼女は全身に毛が生えているので、その体毛が外に熱が出て行くことを抑制しているのだろう。だから制服の襟の裾をぱたぱたさせているのも、いつでも見られる仕草の一つ。ちなみに後の予定は帰るだけなので、制服の下はユニフォームではなく普通の下着である。もちろんノーブラパンツ一丁の陽子さん仕様。

 犬飼陽子が通う高校は遠方出身者のための寮があるので、陽子はその寮へと戻る途中だ。

 彼女の実家は山奥とはいえ同じ県内(ここは神無川県である)にあるのでそこから通学は可能なのだが、毎日電車に揺られて乗客にびっくりされるのも疲れるので、早いうちに寮生活は決めていた。高校の建つ同県内出身者の者に空き部屋はあるのかと最初は心配したが、意外にもなんの問題も無くすんなり入れた。

(まぁ生徒の数自体が少なくなってるしなぁ)

 陽子の暮らす寮も空き部屋は結構多い。建て替えてもう少し規模の小さい寮にしようとか何年も前からいわれているが、予算というお約束の問題で立ち消えのまま。

「あ、おおかみのおねえちゃんだーっ」

 陽子が歩いていると保育園の園外散歩の集団に出くわした。昨日陽子が助けたヒトミのいるあの保育園だ。

「よーこちゃーん!」

 そしてそのヒトミ本人が陽子のことを見つけた瞬間列から飛び出し、体当たりするような勢いで腰に抱きついた。

「おふっ」

 熱烈すぎる抱擁に思わずうめき声を上げてしまう陽子だが、それは気にせずに抱きついてきたヒトミの頭を優しく撫でる。

「元気な様子だねヒトミちゃん」

 捕縛された恐怖の後遺症も特に無い様子なので陽子も安堵した。陽子とヒトミがそうしていると他の園児たちも周りに集まってきた。

「うぃーっ」

 そうして集まってきた園児達がそういいながら、右手の親指と中指と薬指の三本を組み合わせて顔を作り、残った人差し指と小指を立てて耳を作って上に突き出す。それを見た陽子は思いっきり吹き出してしまった。

「それはキツネでしょ? あとうぃーっはウシだから! 一つもあってないよ!」

 といいつつも自分も笑いながら同じように右手でキツネを作って「うぃーっ」とやっているのが、陽子さん流の優しさであろう。

「なんか園の子たちがへんなこと覚えちゃって」

 最後にやって来た引率の保育士の説明によると、今日の朝から誰とも無く手を狐の形にして「よーこちゃんのまね!」とやり始めたのだという。こうやって手指で再現される動物の顔はこの国では概ね狐と解釈されているが、陽子の顔真似で狼に定着してしまった様子。

「ごめんねヨーコちゃん 命の恩人にこんなこと」

 申し訳なさそうな顔で保育士が園児達の行動を謝っている。

「もうこの顔で生まれて15年ですからね、慣れました――って、誰だまた尻尾さわってるのは!」

 後ろに回りこんで尻尾を掴んでいるワルガキの一人の頭をまたしても片手で掴んでグリグリしながら、気にしないで下さいという感じで陽子も苦笑する。子供たちのやることなのだから悪気はないわけで、怒る必要も無い。もちろんあからさまな悪意を持って同じような行動で接触してきた者達には、小さな頃から力で制裁を与えてきた彼女でもあるが。

「ほら、みんな園に帰るわよ。ヨーコちゃんも良かったら園の方に遊びにきてね」

「はい、今度お呼ばれさせてもらいます!」

 そうして名残惜しそうに陽子に抱きついたままだったヒトミ(と、尻尾を掴んでいたワルガキ)を引き剥がして「おおかみのおねえちゃんまたねー」と「うぃーっ」「うぃーっ」を残して園のみんなは保育園へと帰っていった。

 陽子も「またねー、うぃーっ」と返しながら寮へと帰る道に戻る。

「……」

 再び辺りが静かになると、太陽が既に半分ほど海に没しているのに気付いた。辺りもオレンジ色になり始めている。

(逢魔が刻……本物の狼男とか狼女だったらこれくらいの時間に目が覚めるんだよね)

 狼人である彼女がいうところの本物の狼男――変身型亜人ライカンスロープとは概ね夜行性である。狼人間態や虎人間態として行動するには、体に受ける暑熱の問題はやはり重要。暑い時間帯は行動が鈍り、涼しい時間帯なら逆に上がる。全身に毛が生えているとはそういうことである。

 また、変身型の亜人類も、高位の力を持った者はその代償として日の光を浴びると火傷する者もいるし、更に力が上がれば吸血鬼と同じように一瞬で灰になる領域に達する者もいる。

(そういう意味じゃボクって結構しあわせな人生送ってるのかな)

 立ち止まった陽子が、青と橙が混ざった川面を見ながら想う。

 普通の人間と同じ時間軸を過ごしていても、無変身である狼人な陽子は多少暑くて苦しい思いをするぐらい。火傷もしなければ灰になることもない。一番ホッとするのは満月を見ても暴れださないことだろう。

 そんな彼女を見ると若くしてある程度達観しているような物の考え方だが、彼女の場合それこそ幼少時から様々な出来事があったのは間違いない。それらのものをくぐり抜けて高校生活まで辿り着いたのだから、ある程度達観しているのは仕方ないのかもしれない。

「ボクって将来どうするんだろう?」

 人間の中で生きる狼人の未来図。狼人本人ですらその答えを出すのは難しいし、その本人が実は一番答えられない問題なのかもしれない。

「とりあえず今やってる陸上で世界選手権を目指すってことになるのかな。目指すは真ん中の一番良い色のメダル! なんて」

 こういう容姿はしているが、中身は基本的にはどこにでもいるスポーツ少女である。その辺りの考え方は普通だ。

 しかし普通であり異常であるのが彼女の日常な訳で。

「でも『キミは銀色だからやっぱり銀メダルの方が似合うね』とかいわれちゃったりしてね……考えすぎか」

 陽子はそうぽつりというと、再び歩き出した。

「それにつけても……あぢーっなぁ、今日も」


 ――◇ ◇ ◇――


 人間という生き物はどうしても同じ匂いのするもの同士で集まってしまうものである。

 そして彼女が自分は人間であると自覚しているならばそれにはもれなく当てはまる。

 だからファンタジーな生き物としても己を自覚している者の下には、やはりファンタジーな生き物がやってきてしまうのも仕方ない。魔王を倒すには勇者が必要なのと同じように。

 そういう意味では彼女の本当の受難は、高校入学にしてようやく始まったのかも知れない。

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