RE、作家さんと編集さん
渋谷かな
第1話 RE、作家さんと編集さん
「うおおおおおおー! 帰ってきたぞ!」
「うおおおおおおー! 早く原稿を下さい!」
これは自由奔放な作家さんと編集さんの日常。
「ここまでジャパロボを書き終えた感はあるが、85000字か。残念。」
「そうですね。10万字が終わったと思いましたもんね。アハッ!」
「笑うな!」
もう十分感がある。やっぱり書籍1冊分なんだろうが、10万字は長すぎる。
「時代はスマホの1画面で読める小説だ。」
「あと5分で読める小説とかね。」
主流はスマホ中心である。
「読者は本にはいない。読者はスマホにいるんだ!」
「あれですね。事件は会議室で起きてるんじゃない! 事件は現場で起きてるんだ! ですね。」
「いいね。それで刑事モノや事件モノが書けそうだ。アハッ!」
全ての出来事はネタになる作家さん。
「ジャパロボのオチも今の段階で決まっているのだが、いかんせん、予想より残り文字数が多い。」
残り約1万5000字。
「オチの後の世界を描かないといけないですね。」
そのための創作構想を練る作家さんである。ブレイク!
「次回作は、もう決まっているのだがな。」
「マジっすか!?」
「47話×2000字=94000字。からの前後6000字。完璧だ。おまえはもう死んでいる。アハッ!」
頭の中だけは早い作家さん。結局10万字になると1作品1カ月はかかるのが嫌。しんどい。だるい。飽きる。ネガティブの集合体。
「こうして愚痴ってるとアイデアが降り注いでくるのが不思議だ。」
会話も読者の共感を得やすいように愚痴を起用することにした。そこからの何か良いことを一文だけ入れると引き立つ。せこいテクニックである。
「早い!? もうオチのその後の世界が見えたんですか!?」
「当たり前だのクラッカー! 早くなければ素人でも小説を書こうとは思わない。」
「どのように話の展開を持っていくんですか?」
「悪の皇帝森田を倒し、世襲で新しい皇帝になる祐奈。イリスとさとみも皇族になる。第1王女親衛隊と第2王女親衛隊に分かれて、次の女王の座を姉妹で争う!」
「おお!? さすが! 先生! よくそこまで先が見えますね!」
「これでも売れっ子作家ですから。アハッ!」
充電できたような、充電できなかったようなだが、作家さんはストーリーの千里眼をお持ちだった。
「さあ! がんばろう!」
「次回の作家さんと編集くんで会いましょう。さよなら。さよなら。」
終わる。
「もう約6000字で終わりでいいので、新しいを作らずにここに戻ってきた。」
「おかえりなさい。先生!」
ご挨拶。
「どうしますか? もう約9万5000字も使ってしまったので、自由度が無いですね。」
「祐奈対昭和天皇の続きを書くか? その後の世界を書くか? 悩ましいところだ。う~ん、どうしたもんかな?」
苦悩する作家さん。
「オチは祐奈が寝るですから。冒頭は娘同士の後継者争いでいいんじゃないですか?」
「それ、いただき。」
作家さんの編集くんのアイデア盗用疑惑。
「優秀な編集くんだ。」
「それほどでも。アハッ!」
アイデアを出して先生を助けるのが優秀な編集なのかもしれない。
「書きためらいでここに来たけど、さっさと書いた方が解放されて健康にいいな。」
「そうですね。グダグダするだけですからね。」
「書いてしまおう! 例え、それがどんな終わりになったとしても。」
再び作家さんは執筆に向かうのであった。
つづく。
RE、作家さんと編集さん 渋谷かな @yahoogle
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