君の色と僕の色
おくなか
最後の景色
ここから見る景色は綺麗だ。
風を切る音が耳に触れる。
上から下へ流れるように光が過ぎ去っていく。
やがて、その光景も止まり沢山の人の声に風景が消される。
それでも綺麗だと感じた。
僕の色に染まった君の隣なら。
「おはよう!今日も元気そうだね!」
「あ、おはようございます」
僕は今日もいつも通り彼女に挨拶をした。
僕は今日も彼女の彼氏として彼女を守らなければいけない。
「あら、今日はいつもと髪型違うのね、そっちのほうが似合ってるわよ。」
おばあちゃんが彼女に話しかけている。
「次のニュースです、本日午前7時30分ほどに
今日もこのままいけば彼女に危険はないな。
あれ?今、酔っぱらたおじさんが彼女にぶつかったよな。注意してこよう。
「おはようございます。まず本日最初のニュースは昨夜未明、西巻町で40代男性が刃物で7か所ほど刺される事件がありました。男性は一時意識不明の重体でしたが、現在は意識が戻っているそうです、警察はこれを殺人未遂事件とみて調査を進めるようです。」
それにしても最近彼女は僕に気づいてくれないな。
そうだ
彼女を僕の色に染めればいいんだ
「へぇ、広子ちゃんって言うんだね。」
「あなたは確かこのマンションに住んでる~吉田さんでしたっけ?」
「そうだよ、にしてもここから見る景色は綺麗だね」
風の音がまるでこれから僕の色に染まる彼女を祝福しているようだ。
「そうですね、私もよくここに…」
景色がスローモーションのように遅く過ぎ去っていく。
一緒に舞う彼女と一緒に。
「次のニュースです、昨夜、西巻町のマンションから40代男性と18歳女子高校生が屋上から飛び降り降りる事件がおきました。」
君の色と僕の色 おくなか @MakeHappy
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