第2話立谷沢川に付いて

 本当かどうかは定かでないが、県内で最も長く急流で長い沢らしい。

 確かに私が中学を卒業するまでは、護岸工事も無く全く自然のままで初夏の雪解け頃は夜中にゴローンゴローンと家一軒程の大岩が流れて来る音が聞こえた物であるが、夏休み前には中学3年生が、今年の水泳所を決めるために、流れ着いた大岩の下流側が大きな淀にになって水泳に適しているかを潜って調べたものである。

 まだ学校にはプールなど無い時代であるが、背丈を超える深さは有って、周りも大小の石で全くの自然であった。

 2キロも上流には古い砂防堰堤があるが、この岩もあれを越して流れ着いたのかそれとも向かい側の山をえぐって流されたのかは定かでない!

数年前にこの砂防堰堤に傍に有る北月山壮に行って見たが、堰堤の上は砂で埋め尽くされ、まるで学校のグランド状態だった。

 さらに上流には当時から月の沢と呼ばれる東北電力の発電所が有るので、クラスメイトの父親は大変な想いで務めていたのであろう。

 兎に角この川は下流の清川まで川底は石や砂利だけで、ウナギなどは上って来ないが、イワナ、カジカの宝庫でもあった。

 カジカは放課後に1時間ぐらいで毎日30匹も捕れて、囲炉裏で焼いたものであるが、真夏などはカンテラ持ってカジカが浅瀬で寝て居る時はもっと簡単であった。

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