第11話 報告と報酬
その後何とか逃げ延びた二人はラフィンとキリを救護院に預けてから宿屋で着替え、その後生活管理局へ向かい、マゼラに一様の報告を行う。
「…成る程。魔術を避けれるのは同時に一度だけ。そして引火、更には鎮火後の炭化か…。」
「はい。恐らくはキリさんが何かに気づいたみたいで。とはいえ今彼女は自身を酷使した反動で救護院にいます。詳細の報告は後日行わせて貰えるでしょうか。」
「構わないよ。聞いている限り全員無事に帰って来れた事にまず驚きだからね。彼女が気付かなければ仲間を失いかねない状態だった。違うかな?」
「ええ。そうです。キリが居なければ今頃…っ!」
拳を震わせるレジスにマゼラは微笑む。
「『その瞬間選択できなかった道は単なる可能性であり今を構築する結果ではない。選んだ道に誇りを持て。』…これは私が幼い頃から好きな冒険譚の主人公が憧れている英雄に言われた言葉でね。彼女が気付いたから助かったのは事実。だから気付かなかった可能性を悔やむより、気付いたお陰で全員生きている今のこの瞬間を誇りなさい。そうでなければ間違った時に人は間違いに気付けない。選んだ道に誇りがあるからこそ、人に言われて気付く事もあるのだよ。」
「…マゼラさん。」
「…最も、全てに誇りを持って間違われても困るのだがね。レジス君の様に悩んで引き摺るのも大事だ。救えた筈の命を救えなかった時は存分に悩むといい。だが、今はちゃんと救えている。その事は君もキリ君も誇りに思うべきだろう。」
マゼラの言葉に拳を震わせていたレジスの力が抜ける。腑に落ちたらしい彼の言葉に幾分穏やかな表情を取り戻したレジスは、改めて感謝の意を述べた。
「しかしその様な状態であるなら全ての討伐は叶わなかったみたいだな。なるべく早くキリ君から情報を聞いて対策せねば。」
一転して難しい顔をするマゼラ。だが、現状即座に動く事が出来ない為一旦の成功報酬として一人頭銀貨5枚が入った袋を差し出した。
※※※
2日後。
無事回復したキリとラフィンを連れて改めて生活管理局へ向かいマゼラに会う。
「今回の魔物に関してですが恐らくスライムだと思われます。分裂による増殖、合体して同一化が見られました。対処法としては燃焼させる事によって細胞が炭化するのでその後鎮火、物理的に攻撃する事で強酸の影響なく討伐可能です。」
「了解した。単発での魔術が避けられる事も加味して改め討伐隊を組むとしよう。報告感謝するよ。」
無事対策を伝えた事による報酬で銀貨1枚受け取ったキリは頭を下げる。その後四人は冒険者組合に依頼達成の報告を行いステータスの更新を行った。
「今回結構討伐したのもあって素材の買取分も充分に貰えたぞ。」
ジャイアントラット4体、キラーバット7体を道中で倒していた為その分の報酬も全員で分配する。分配された分も含めると今回の討伐で使った物を補充してもお釣りが来る範囲だった。
「おし。それじゃとりあえず…帰って飯でも食おうか。」
レジスの言葉に三人は頷く。こうして四人での初依頼を無事こなした一同だった。
・パーティ合計取得報酬
銀貨25枚、銅貨21枚
(内訳:依頼達成報酬銀貨20枚、特別報酬銀貨1枚、討伐報酬スライム2体銀貨2枚、ジャイアント4体銀貨2枚、キラーバット7体銅貨21枚)
・経験値内訳
依頼達成
1000
特別報酬獲得
500
討伐報酬
2300
・パーティ称号
駆け出しの冒険者
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