第12話 騎士団の役割
王国騎士団の役割は王都キルリを守ること。
これに尽きる。
もちろん、王族や要人がキルリから他の都市へ行く際に護衛をする場合もあるが、その際に町や村がモンスターに襲われていても、それを排除することはしない。
そういう意味では騎士団は王国のために働いているわけではなく、王都騎士団と呼んだほうが役割は明確になるのかもしれない。
王都キルリにとっては守護神のような王国騎士団だが、王都以外の国民からは人気がなく、むしろギルドの冒険者が国を守ってくれていると考えている者も多い。
騎士団は隊長と副隊長2名、それに参謀が10名の中枢部と1班およそ10名ずつの機動班が13班存在する。
キルリの東西南北に、機動班それぞれ2班ずつ8班が担当し、中央に5班が常駐する。
新人は中央の1班が代々教育することになっており、9か月に渡る過酷な教育をくぐりぬけた者しか、騎士団専用のホバーバイクF-3は貸与されない。
キルリは例えるならハリネズミのようにモンスターからその身を守っており、また、一般の犯罪も少なく治安は世界トップクラスと言っても過言ではなかった。
騎士団のホバーバイクは白を基調にして赤いラインが入っている。
騎士団は巡回のため王都の各地を回るがどこに行っても住民が頭を下げる。
詰所に差し入れをする住民も珍しくなく、王都の実力者は騎士団員と若い娘を引き合わせて、恩を売ってきたりもする。
東西南北の8班は、王都から半円を描いた半径3キロル程は守備範囲となっており、週に一度ほどはモンスターと遭遇することがある。
その際に討伐するかどうかは、基本的に3キロル以内かどうかが基準だ。
F-3の馬力と日ごろから訓練された騎士団の強さは相当なもので、ほとんどのモンスターは数名の騎士団に囲まれて殺処分になる。
東西南北に配置された班はこのように実戦経験を積めるが、中央の5班はよほどのことがない限り実戦の機会がない。
そこで、1年ごとにローテーションで配置は入れ替わることになっている。
例外は中枢部と教育を担っている1班のみである。
ちなみに王国には王国騎士団とは別に戦争のための兵士、対モンスターではなく他国と交戦するための軍隊も存在する。
ただ、首都防衛は半分王国騎士団に任せているため、王都には展開しておらず、もっぱら地方にその主力を置く。
それでも、キルリにも相当な数の王国兵は存在し、騎士団とは互いに仲が悪い。
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