この世界に救いがあるならば

海乃 果(うみの はて)

序章

第1話 キルリアン王国



 キルリアン王国。



 人口は1,000,000人を超える大国。


 王都キルリには300,000人を超える人が集中しており街は賑わっている。


 キルリアン金貨、銀貨、銅貨を発行しており、その硬貨は自国のみならず大陸中で流通している。


 経済のみならず、軍事力も強いキルリアン王国は大陸の中でも発言権の強い国として一目置かれている。




 但し、そのキルリアン王国には、悩みがあった。


 モンスターの徘徊である。


 屈強な王国騎士団は存在するが、王国騎士団は基本的に王都キルリしか防衛しない。


 地方に出没するモンスターは、公的には排除してもらえず、ギルドでその討伐を受け入れている。


 

 ギルドには認定された冒険者が多数登録されており、危険な仕事をこなしていく。


 また、ギルドには個人からの依頼だけでなくキルリアン王国からの公的な依頼もある。


 どのギルドメンバーでも知っている依頼として、カオナシと呼ばれるモンスターの討伐依頼がある、討伐報酬は3,000金貨。


 豪邸が30軒ほど立つような金額である。


 カオナシは身長が20メートルを超える巨人で名前の通り、顔には目や鼻がついていない。


 身体能力が驚異的で、王都にすら襲い掛かる時がある。


 人、特に幼児を主食としている。


 これまで、何十回も討伐隊が組まれているが、ことごとく壊滅させられていた。


 今では、カオナシに襲われることは自然災害のように思われている。


 王国からの依頼であるので、ギルドの一番目立つところにカオナシ討伐依頼は貼ってあるが見る人もいない。



 

 王都キルリのギルドは酒場も兼ねている。


 今日も常連達が酒を飲んではモンスターの情報交換を行っている。


 「おい、グレイは何やっているんだ」


 「ボスはホバーバイクの試運転です」


 「お、やっと買い換えたのか?」


 「いえ、この前まで修理に出していたので」


 「おいおい、まだPN-1乗っているのか?もう30年落ちだろ?」


 「俺も、ボスには買い換えたほうが良いって言っているんですけどね」


 「たしかに、PN-1は今のホバーバイクに比べたらパワーは段違いだが、30年前のものだからな」


 「ですよね、今はH-4が一番ですよね?」


 「おお、H-4は優秀だな、なにより操縦しやすい」


 「そうですよね、それでいてパワーもそこそこ出ますし」


 「おお、良く分かっているじゃねえか、マルコって言ったか?」


 「そうです、マルコです、ガッホさん」


 「マルコも評価はAか、グレイのチームは粒ぞろいだな」


 「いえいえ、ガッホさんも評価Aじゃないですか」


 「それはそうと、南の方がちょっとやばいらしいな」


 「はい、ボスも自ら偵察に行っています」


 「共同作戦になるようなことがあればよろしくな」


 「はい」

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