Day.27 外套
外套【いつか、いつかは】
クローゼットの片隅に、着古した子供用のコートがかかっている。私が幼い頃、母に買ってもらったものだ。淡いピンク色の可愛いコート。優しかった母が微笑んで、似合うね、と言ってくれたコート。
いつから母は変わったのだろう。
私と父を罵って、罵詈雑言を吐いて、母はこの家を出ていった。母が他人になって数年経つのだけれど。
もう着ることのない、この小さなコートを、捨てられる日はやってくるのだろうか。
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