Day.24 額縁

額縁【価値ある佳作】

 立派な額縁に、私が描いた絵が飾られていた。

「色使いが上手だねぇ」

「ゾウさん、みずあびしてるー!」

 絵を見た人たちが、大人が、子供が、率直な感想を口にしながら私の絵の前を通り過ぎていく。その様子を、私は離れたところから微笑みつつ眺めていた。苦心して完成した絵だったので、受賞したのが佳作でも嬉しかった。



「週末なにしてた?」

 友達に訊かれて、動物園へ行ったよ、と言えばさらに「なにを見てきたの?」と問われた。

「動物は、なにも。いて言えば、人、かな」

 こう答えたら、友達にはなにそれ、と訝しがられてしまった。

 夏休みに動物園の写生大会で描いたアフリカゾウの絵が佳作をとり『園内で自分の絵が展示されているところを見るためだけに、動物園へ行ってきた』とは、気恥ずかしさもあって言えなかった。

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