Day.7 秋は夕暮れ
秋は夕暮れ【未来に】
「秋は夕暮れが早くて嫌になるなぁ」
学校からの帰り道。駅のホームで電車を待っていると、友人がポツリと言った。
彼女の家は親が厳しくて門限がある。今月からは門限が一時間早まったそうだ。暗くなると危ないから寄り道せずに帰ってきなさい、と。
部外者が聞くと、心配性の親なんだな、ぐらいにしか思わないだろう。だけど、中学時代からの親友である私はそう思えなかった。彼女との雑談の節々で、日々親からの凄まじい圧力があるのだと感じていた。
「反対行きの電車に乗りたいぐらいだよ」
友人が苦笑する。逃避行、という言葉が頭をよぎった。そんなことをしたら大騒ぎになることは分かっている。だから代わりに、前々から考えていたことを提案した。
「来年の受験、だけどさ。××大学、一緒に受けようよ」
「え。あんな偏差値高いところ、無理だよ」
「あそこなら……!親も一人暮らし、許してくれるでしょ」
「それは、そうだろうけど……」
今一緒に逃げることができないのなら
「誰にも咎められずに、一緒にあの町を出ようよ」
未来に賭けてみようよ。
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