チェス(2)【懸賞なんて】
高校生の頃、ある漫画が大好きだった。
もともと漫画は好きだったけれど、一番お気に入りの作品で。読み切りの時から知っていて、主人公も好きだったけれど、のちに味方になる敵キャラが推しだった。外見も内面も紳士なその人は、作中で時折チェスを嗜んでいた。
あの漫画が連載終了してから数年。作者の先生は、別の作品で連載を続けている。私はその漫画も好きで、毎週楽しみにしていた。
連載されている某漫画雑誌の懸賞ページを何気なく眺めていた時のこと。一点に釘付けになった。
【××先生のサイン入りチェスセット!前作での資料として使われていました。インテリアにもなる、世界に一つだけの品です!】
あの漫画の、資料として使われていた、チェスセット。推しが嗜んでいた、あのチェスの……?そして、先生のサイン入り……!?
「ほ、欲しい!!」
当たるとは到底思えない。それでも、わずかな希望を抱いて応募した。
それから一ヶ月後。
「えっ、は?チェスセット?うちに、ですか?なにかの間違いじゃなくて??」
玄関先で宅配業者とこんな会話を交わすことになった私は、相当な幸せ者なのだろう。
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