ヒドインに転生してしまったので、何とかしてざまぁ回避しようと思います!
山吹弓美
00.きらきらプロローグ
「おお、これは!」
私が手をかざした水晶玉が、虹色にきらきらと光った。その向こうで神官様が目を丸くして、それでもすごく感動したって顔をされてる。
「キャルン、どうやらあなたには聖女としての素質があるようです!」
「え?」
この虹色きらきらと、神官様が感動した理由はその言葉で分かった。
私、聖女の素質があるの? この、くっそど田舎の村で畑耕すお父さんと、織物作ってるお母さんの間に生まれたこの私が?
「何てことだ……」
「あ、あなた!」
うん、後ろにいるお父さんとお母さんも多分、同じような顔をしてるんだろう。私からは見えないんだけどさ。
そうして、きらきらを見つめていると水晶玉の中から、私の頭の中に映し出されるように何かの光景が、見えた。
『…………! お前との婚約をこの場にて破棄し、聖女……を我が妃とする!』
「へ?」
いや何今のセリフ。つーかその王子様っぽい人誰よ、何でその隣に私がいるのよ。
そんでもって、推定王子様はどうして、私たちと向かい合ってる貴族のご令嬢っぽい人を怒ってるのよ。
『わたくしは、その方とは数度言葉をかわしただけですわ。聖女としての生活は、同じ場所で過ごしておりましたけれど』
うん? あ、これ、何か見たことあるぞ?
というか私、文字あんまり読めないはずなのにこの映像に出てきた文字、読めるし。というか違う文字だし。
『そんなあ! ときどき、私の食事にこっそりゴミを落とされたり、お皿を手で弾かれたりしたじゃないですか!』
『何をしているんだ……我が婚約者たる以前にお前は、国を守る聖女として修行の身だろう!』
あー、うん、見た。
テレビで、アニメでばっちり。
「あ、あれ?」
テレビ。アニメ。婚約破棄、その他諸々。
その瞬間、私の頭の中にどっといろんなものが入ってきて、何かグラリときて。
「キャルン!」
「キャルン、どうしたの!?」
お父さんとお母さんに名前を呼ばれながら、目の前が真っ暗になった。
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