ファーストコンタクト -笠原拓のレポート-

久納 一湖

自分についてのレポート (1)

 俺はまだ若かった。もちろんあいつも若かった。

 若さってのはいいもんだ。勢いがあれば、大抵のことは推し進められる。自分でも”何とかなる”って思いこんで立ち向かうことができる。恐れを知らないからだ。


 若さのいいところってのはそこだが、逆にそれが危険を招くこともあるだろ? 

 これは一種の無知であることの表れだ。当時、俺は慎重に活動してきたつもりだが、実際のところそうでもなかったらしい。何も知らずに自ら危険の中に飛び込んでいたんだから。たくさんの情報をコントロールした気になって、ちょっと驕りがあったのかもな。


 調子に乗って、警戒心も薄れてた。まさか荒地で探し物に出くわすなんて思わないだろう。砂漠で指輪を掘り当てるようなもんだ。人生何が起こるかわからないって思ったな。


 琴平さんも怖かった。俺、後ろから羽交い絞めにされたんだった。恐怖でしかない。


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