第8話 晩ご飯


 

 小屋の方から、ジルが、手を振り呼びかける。

 


ジル「おーい、あんた達〜!ご飯の時間だよー!」


ビル「ほいよっ!4人とも

   今日は、ここまでにして、飯にするぞっ!」


ビルの、言葉に4人は返事をして、

小屋へと向かうのだった。


「はぁーい」


 ユウトが、小屋に近づくにつれ、

 小屋の方からする、

 美味しそうな匂いに、ユウトの口から

 ヨダレが溢れ出すのだった。


 (す、凄く……いい、匂い…………)


ーーーーーーーーーージュルッ。


 溢れ出た、よだれを、手で拭い小屋の扉を開く。

 

 

 机にいっぱいの料理が並んでいた、

 鳥の丸焼き、大きい魚のカブト焼き、

 サラダ、シチュー、

 カリカリのパン、それを見たビルは、驚愕する。


  ビル「ジ、ジル……これは、作りすぎだぞ…」


  ジル「いーじゃないか、育ち盛りが

     こんなにもいるんだ、

     いっぱい食べな!」


  ビル「全く……でも、こんな美味そうな飯、

     毎日、食えるのも、

     ジルが、居てくれるからだしな」


  ジル「そんなに褒めても何も出ないよ〜、

     ほら、みんな見てないで、手を洗って、

     席に座りな!」


 ユウト達は、手を洗い、

 席に座ると、手を合わせる。


  『いただきまーす』

 

 スプーンを手に取り、シチューをすくい、

 頬張ると、ほっぺを抑える。


  ユウト「美味しい〜〜!!」


 ジルは、ユウトに近づき、優しい顔をして、

 ユウトの、頭を撫でる。


 ジル「おかわりは、いっぱいあるからね、

    たらふく食べな!」


  ユウト「うんっ!」


  レオ「ユウト!このお肉も美味しいよ!」


 レオは、鳥の丸焼きの、

 ももを手に取り、お皿に盛って手渡す。


  ユウト「レオありがとう!!」


 お皿を、受け取ると、

 ももを口いっぱいに、頬張ると、

 肉汁が、口から滴る。

  

  ユウト「ん〜〜美味しい〜〜!」


 ジルが、フキンを手に取り、

 ユウトの口元の、肉汁を拭き取る。


 ジル「ほらほら、そんなに急がなくても、

    料理は、逃げないよ」


 ユウト「んーん、あ、ありがとうジルさん!」


 お礼を言うと、次々と料理を食べ進めていく、

 その様子を見た、サーシャは、

 お腹を抑えながら言う。


 サーシャ「ユウトったら、

      いっぱい、たべるのね……

      私と、ベルは、もうお腹いっぱいよ」


ベル「う…ん、私も、お腹いっぱい…

   お魚、お肉、シチュー、カリカリのパン、

   凄く美味しかったぁ〜〜」


 ジルが、お皿に盛られた、デザートを持ち、

 サーシャと、ベルの前に置く。


ジル「サーシャ、ベル、

   デザートも、作ってあるよ!」


 「キャー美味しそう!!」


 2人は、目を、輝かせ、叫ぶ。


 ジル「今日はね、2人が

    摘んでくれた、リンゴをつかって

    アップルパイをつくったよ!」


 サーシャ「ありがとうジルさん!!」


 ジル「サーシャは、

    甘いものが大好きだからね♪」


 サーシャ「うん!だぁぁいすき♪」


 そう言って、喜んでいると、

 ベルが、サーシャのほっぺにソースが

 付いているのに気が付き、フキンで拭く。


  ベル「お姉ちゃんほっぺに、お肉のソースが

     付いてるよ!」

 


  サーシャ「んー、ありがとうベル!」



  ユウト「サーシャ、さっきお腹いっぱいって

      言ってたのに……食べれるんだ…」

 

 サーシャは、ユウトの方を睨みつける。


  サーシャ「ユウトー、

       つ・ぎ・は・な・い・わ・よ」

 

 サーシャの笑顔の一言で、

 ユウトの、背筋が凍る。

 

  ユウト「ご…ごめん」


  レオ「ユウト、気を付けないと…

     サーシャの、飛び蹴りは

     めちゃくちゃ痛いからね……」


  ユウト「うっ、うん…」


 コソコソと、話していると、

 背後から殺気が、放たれ

 レオとユウトに拳が、振り下ろされる。


 『ゴン、ゴン』

 

サーシャ「次は、ないって言ったでしょぉぉ〜」

    


 ユウト「うぅぅ、サ、サーシャ痛いよぉ……」


 レオ「いててて」


 サーシャ「ふん!」


 プイっと、そっぽを向き、席へと戻る。


ベル「お、お姉ちゃん、やり過ぎだよ……」


サーシャ「別に良いの!ユウトとレオが

       悪いんだから!!」


 

ムスッと、しながらジルが運んでくれた

アップルパイを頬張ると、

ほっぺを、抑えながら、

幸せそうな顔をするのだった。


 サーシャ「ん〜〜、おいし〜〜い♪」


 


 ベル「私も頂きま〜〜す!」


ベルも、続きアップルパイを頬張ると、

ほっぺを抑え、幸せそうな顔をする。


ベル「ん〜〜、おいしぃぃ〜〜!」


 

その時、ビルが、何杯目か飲み干した

ジョッキを、机に置く。


『プハァァァァーー』



 ビル「ジル、うまい酒をもう一杯!」


 ジル「はいはい、

    あんま飲み過ぎるんじゃないよ」


 ビル「今日、ぐらい良いじゃねーか!

    こんな美味い飯、

    酒を、飲まずにいられねーよ」


 ジル「もう、あんたったら褒めても、

    何も出ないよッ!」


 ジルが照れて、ビルの頭を軽く叩くと、

 ビルは、白目を向いてテーブルに頭を打つ。


『ゴンッ』


ユウト(ビ…ビルさん!?

     ジルさんの一発で……す…凄い……)


 ジル「あ、あんたっ?大丈夫かいあんた!?」


 ビルの身体を揺すり、気を確かめる。



 ジル「やれやれ………飲み過ぎなんだよ…」


 そうやってジルが呆れていると、

 レオが、ユウトの耳元で囁く。


 レオ「ユウト、ジルさんはね

    綺麗で、か弱そうに見えるだろ?」


 ユウト「う、うん」


 レオ「でもね、力は凄いんだ……」


 ユウト「う、うん、あの、ビルさんが軽く

     叩かれただけで……きをつけるよ…」


 2人は、見つめ合い、ゴクリと唾を飲み込むと、

 固く決意するのだった。


 そして、ユウト達は、ご飯を食べ終わり、

 お腹を押さえ言う。


  ユウト「も…もう食べれない……」


  レオ「僕も…ご、ご馳走でした」


  ユウト「ジルさんご馳走さまでした!」


 そうして、ユウト達は、食べ終わった食器を

 片付けていると。


ジル「さぁ、皆んな、

   身体を洗ってしっかり休みな!」


 ジルの言葉に、ユウト達は、返事をする。


  「はーい」


 そして、ユウト達は、食器を洗い終わり、

 お風呂へと向かい、

 その、お風呂の大きさに驚くのだった。


  ユウト「す、凄い……」


レオ「やっぱり、驚くよね……

   僕も初めて見た時は、凄く驚いたよ……」



ユウト「うん…こんなお風呂入った事ないから、

   す、凄いや……!!でも、誰が作ったの?」



レオ「このお風呂は、ジルさんがお風呂が、好きで

   ビルさんが、ジルさんの為に、

   地の魔法を、使って、作ったみたいなんだ」


  ユウト「そ、そうなんだ……」


 2人は、服を脱ぎ、体を洗い終わると、

 お風呂へと入る。


 


 2人は、お風呂に浸かると、気持ち良さそうに

 声を出す。


 『はぁぁぁぁぁ〜〜』


     


 レオ「フゥゥ〜〜気持ちいいね〜〜」


 ユウト「うん〜〜、1日の疲れが、

     吹っ飛ぶようだよ〜〜」


 レオ「ユウト〜、今日はどうだった?」


ユウト「うんっ、初めての仕事で

    凄く疲れたけど…でも、楽しかったよ!」


 レオ「良かった!明日は、

    休みだから、一緒に街に出かけない?」


  ユウト「うんッ!行ってみたい!!」


  そうして、ユウトと、レオは、

  今日の仕事の出来事を色々話し、笑い

  時間が過ぎていった。


  レオ「ユウト、そろそろ小屋へ戻ろうか!」


  ユウト「うん!」


 2人は、体をタオルで拭き、小屋の中へと戻ると

 布の中へと、潜り込む。


  レオ「ふぅ〜〜、お風呂気持ちよかったぁ〜」


  ユウト「気持ちよかったぁ〜〜」


 ユウトと、レオが布に、くるまっていると。

 サーシャと、ベルが外から、

 小屋の中へと入り、ユウトとレオに、

 挨拶をして奥の部屋へと向かう。


  サーシャ「おやすみー」


  ベル「お休みなさい」


 2人の言葉にユウトとレオは、挨拶を返す。


  『おやすみ〜〜』


 サーシャと、ベルが奥の部屋へと入ると、

 レオが真剣な顔をしてユウトを見る。


レオ「ユウト、実は、

   聞きたい事があるんだけど良いかな?」

 


  ユウト「うん、どうしたの?」



レオ「ずっと、聞きたかったんだけど

   ユウト、君の世界での、君の、今までの

   生活の事を、聞いてもいいかな?」


 ユウト「う、うん……」


 そして、ユウトは、レオに、母の事、

 学校の事『この世界では学園、

      貴族達が通う場所』

 今までの生活の事を話した。


  レオ「そ、そんなことが……」


 レオは、ユウトの話を聞くと、涙を流した。


レオ「君は、ずっとそんな、生活を、

   耐えてきたのか……」


 レオはそう言うと、

 ユウトを強く抱きしめるのだった。


ユウト「レオ……ありがとう…」


 ユウトは、レオの温もりに、涙を流し、

 抱きしめ返す。



ユウト「レオ、僕は、まだこの世界に来て

    2日目なんだけど、

    僕は、君達に出会えて、良かった、

    本当に、嬉しかったんだ…」


レオ「うん、僕も、君に会えて嬉しいよ……

   もう、僕たちは、親友だからね……」


ユウト「うん、ありがとうレオ……」


 奥の部屋に続く道には

 人影があった、その人影は、

 2人に気付かれないよう、

 静かに、物音を立てないように

 奥の部屋へと、消えて行く。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「な…何よ……あのバカユウト…

  自分だって辛い事があったのに、

  人の為に…泣いたりして…」


 奥の部屋へと入ると、涙を流し、

 ベッドの中へと潜る。


 ベル「お姉ちゃん?どうしたの?」


 その人影は、サーシャだった、

 サーシャは、ベルに涙を見せない様に、

 布団に包まり、ベルに言う。


サーシャ「なんでもないわ……おやすみ、ベル」


 ベル「う、うん…お休みなさい…」


 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 

 レオが、ユウトに、この世界に連れてきた

 人物が、誰なのか気になり、聞く。



レオ「ユウト、もう一つ、聞きたい事が…

   あるんだけど?」


ユウト「うん、良いよ」




レオ「君を、この世界に、連れてきた

   人物なんだけど誰か分かるかい?」


ユウト「う〜ん……」


 ユウトは、しばらく考え、答える。


ユウト「ごめん全く分からないんだ、

    いつも、前の世界で、夜になると、

    歌を歌って、聞かせてくれたんだけど…

    顔も見た事なくて、

    声と、歌しか分からないんだ……」


レオ「歌か……」


レオは、考え、閃いたように、ユウトに話す。

    


レオ「きっと見つかるさ!

    僕も、協力するよ!!」


ユウト「本当に!?ありがとうレオ」


 そう言うと、レオは、手を差し出し、

 ユウトは、その手を握り、握手を交わす。


レオ「明日は、朝から劇場に行こう!劇場には、

   歌姫が居るんだ!案内するよ!」


  ユウト「うん!ありがとうレオッ!!」



 ユウトは、楽しみで笑顔になる。


 レオ「それじゃあ今日は、もう寝ようか!」


 ユウト「うん!」


 そして2人は、横になり、眠りにつく。


 レオ「お休みユウト……」


 ユウト「お休みレオ……」

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