第7話:大戦争!? ユキくん争奪カラオケ対決ゲリラオフ

ココネ:『それじゃあ、まずはマシュマロを答えていくよー』


ユイ :『うみゅー、おまかせするのー。終わったら起こしてなのー』


ココネ:『ちょ、ちょっと、待ってください! ほらっ、私が答えるのですから、ユイちゃんが読んでください』


ユイ :『面倒なのー……』




 ユイは本当に面倒そうな声を出していた。それをココネは呆れた様子で見ていた。




ココネ:『いいから早く! そうじゃないと本当に今日の対決は引き分けでカグラさんが初コラボということになりますよ!』




【コメント】

:草

:w

:w

:ユイちゃんは相変わらずだったw

神宮寺カグラ🔧:ガタッ

カグラ様が反応してるw

雪城ユキ🔧:ぼ、僕がコラボしない道も……




ユイ :『うにゅー、それは絶対にダメなのー。仕方ないから読むの。[ココママは誰のママなのですか? 僕のママになってもらえませんか?]。うん、どうぞなの』


ココネ:『か、勝手にあげないでください! 私は誰のママでもないですよ。ただ、誰かのママになりたいとしたら……ユキく――』


ユイ :『次の質問は[ココママは何歳なのですか?]。えっと、二十歳なの』


ココネ:『勝手に答えないでくださいー! それに私がユキくんのママって言うところも割って入らないでください!』




【コメント】

:w

:w

:草

:ココママ、二十歳なんだ

:一応公式設定にも載ってたな

:ユイちゃんにいいように手玉に取られるココママ

雪城ユキ🔧:ココママは僕のママだよ




ココネ:『ゆ、ユキくん……』


ユイ :『うにゅ、いい加減ママということを認めるの。さて、それじゃあ次行くの。[ココママがてぇてぇすぎて――]、うん、これは違うね』


ココネ:『ちょ、ちょっと、勝手に省かないでくださいよ!? わ、私が読みますよ。なになに、[ココママがてぇてぇすぎて、夜もご飯三杯しか喉に通りません。ところで今日のパンツの色は何ですか?]って、何言わせようとしてるのですか!?』


ユイ :『うにゅ、だから省いたのに……。ちなみにゆいの今日のパンツは――』


ココネ:『言っちゃダメーーーー!!』




 ココネの大声が響き渡る。




【コメント】

:ママ叫ぶw

:惜しかったw

:ユイちゃん策士w

:食べすぎw




ココネ:『はぁ……、はぁ……、そ、それじゃあそろそろ歌の方へ行きましょうか? 私の本領発揮ですね』


ユイ :『うにゅ、店員さん、そろそろお会計を――』


ココネ:『だ、ダメですよ!? まだ入って一時間も経ってないんですから』


ユイ :『うみゅ、もうゆいの勝ちでいいから終わるの……』


ココネ:『なんで歌わずに負けを認めるのですか!? こうなったら圧倒的差で勝っちゃうからね』


ユイ :『うにゅ、胸の差が勝敗の決定的差だと言うことを教えてあげるの』


ココネ:『な、なんの勝負なのですか!?』




【コメント】

:草

:w

:ココママはママだけど、ロリだもんな

神宮寺カグラ🔧:胸の差なら私が圧倒的だな

:圧倒的絶壁w

神宮寺カグラ🔧:そ、そんなことあるはずないわよ!?




 カグラが適当にコメント欄で弄られ始めたタイミングで、音楽が聞こえてくる。


 テレビでよく流れている音楽。



――誰が歌ってたんだったかな?



 ここ最近動画配信くらいしか見ていなかったので、誰が歌っていたのかわからなくなる。

 ただ、その曲を歌っているココネの声はとても綺麗で、思わずコメントを書くのをわすれてしまう。




ココネ:『〜〜♪』


ユイ :『うにゅ、うまいの……』




 ココネが歌い終わるとユイが悔しそうに口を噛み締めていた。




【コメント】

:88888

:88888

:88888

:88888

雪城ユキ🔧:88888

:88888

神宮寺カグラ🔧:88888

美空アカネ:88888

:一期生筆頭が見にきてて草

:暴走特急だ!




ココネ:『えっ、あ、アカネ先輩!? スパナつけますね』


ユイ :『うにゅー、おひさー』


ココネ:『こらっ、ユイ。なんてことを言ってるの!?』




【コメント】

美空アカネ🔧:いいよいいよ、そのくらい。それよりどこ?

:いきなり場所を聞くw

:相変わらずの暴走特急w





ココネ:『えっと、場所を教えてもいいですけど、放送は終わってますよ、来られる頃には』




【コメント】

美空アカネ🔧:なーんだ、じゃあやめとくよ。あと、ユキくん。三万人突破記念イラスト出来てるから使ってね。エチエチに描いたからね

:ユキくんのえっち画像!?

:ちょっと待て。バンされるぞ!?

:その前に見ないと!

雪城ユキ🔧:ちょ、ちょっと待てください。僕、そんなこと聞いてないですよ!?

美空アカネ🔧:うん、今言ったからね。じゃあねー




 とんでもないことを言い残した後、美空は姿を眩ませていた。

 そして、すぐにチャットの通知が鳴る。




――あ、あれっ? 誰だろう?




 ココネとユイは今配信しているからこないだろうし、カグラとはまだ個別で連絡を取り合ったことはない。

 そう考えると考えられるのは担当さんから……。




――で、でも、何か問題を起こしたわけでも――。




 僕は途中で固まってしまう。

 問題で言えば起こしていない数の方が少ない。

 またお説教か……、と少し気持ちが沈みながらチャット画面を開く。




アカネ:[やっほー、ゆっきくーん]




「わっ!?」




 予想外の相手からの連絡で思わず身じろいでしまう。




ユキ :[こ、こんにちは、美空先輩]


アカネ:[はははっ、そんな緊張しなくていいよ。先ほど言ったでしょ? イラストだよ、早速使ってね]




 それだけ言うとアカネは一方的にユキくんのイラストを送りつけてくる。


 白のワンピースタイプの水着を着ているユキくん。フリルがたくさんあしらわれて、とても可愛く描けているところをみると、さすがアカネと言わざるを得なかった。

 その上からは犬柄の黄色い半袖パーカーを着ているので、水着としては比較的露出は少ない方だろう。

 いつもならフードを被っているが、水着バージョンは被らずにぼさぼさの茶色い髪と犬の髪留めが見えている。




ユキ :[あ、ありがとうございます、美空先輩]


アカネ:[もう、アカネでいいよ。それに合わせた2Dイラストも送るし、水着で動くユキくんを楽しみにしてるよ、今晩]


ユキ :[え゛っ!?]




 絵だけなら貼ればおしまいだが、動くとなるとまた別だった。


 ある意味僕の魂がアバターに入っているようなもの。

 いかにも女性らしい格好をしてしまうと本当に女性になってしまっているのでは、と錯覚させられてしまう。


 だから抵抗はあるものの、これだけ素晴らしいものを渡されてしまうとやらないとは言えなかった。




アカネ:[あと、ユキくん段ボールハウスの種類も増やしたからそっちも使ってね]


ユキ :[あ、ありがとうございます。今度使わせてもらいます]





 もらった以上、アバターは水着バージョンにしないといけない。僕の性格を考えてわざわざ露出の少ないワンピースタイプにしてくれたのだから。


 それに動かすのが僕自身、と言うことを考えなければイラストはとても可愛かった。

 これを見せない、ということは考えられなかった。




アカネ:[それじゃあ、渡したからね。あと、今度コラボしようね]


ユキ :[はいっ。……えっ!?]




――何か変な言葉を見た気がする。



 ついつい初めの文字で返事をしてしまったが、よくよく見るとコラボについてまで書かれてあった。




アカネ:[あははっ、言質とったからねー。担当さんにいつにするか聞いておくよ]


ユキ :[あうあう、お、お手柔らかに……]




 承諾をしてしまったので、そこから断ることもできず、頷くしか出来なかった。




アカネ:[聞いてた通り、いい子だね。騙し打ちみたいに言ったから拒否することもできたのに]


ユキ :[そ、その、嘘だけは良くないですから]


アカネ:[ふふっ、楽しい子だね。ほどほどに加減してあげるよ。それじゃあ、またねー]




 アカネと話している間にユイの歌も終わっていた。



――全く聞けなかった……。



 少し残念に思いながら結果を聞く。



ココネ:『うっ、ま、負けた……』


ユイ :『ぶいっ』




【コメント】

:これは予想外の結果に

:ココママ敗北

:信じられない




 コメントを見る限り、ユイが勝ったようだ。

 ただ、歌に関しては絶対の自信を持っていたココネが負けた、ということを信じられなかった。




【コメント】

雪城ユキ🔧:い、一体何があったの!?




ユイ :『うにゅ、音程の通りに歌うだけなの。採点ゲーム・・・ならゆいに負けはないの』


ココネ:『うぅ……、このままだとユキくんが……。ま、負けないですよ』


ユイ :『歌のうまさが採点の決定的差ではないことを教えてやるの』


ココネ:『うぅ、みんな、私に力をわけてくださいー!』




【コメント】

:w

:w

:w

:パロw

雪城ユキ🔧:ココママ、頑張れ。これ以上コラボが増えたら僕の体がもたないよ……

:二人が真剣勝負してる間にユキくんがコラボ増やしてる件w




ココネ:『ユキくん? どういうことですか?』


ユイ :『……ギルティ?』




【コメント】

:修羅場きたーw

:ユキくんピンチw

:さて、ユキくんの回答は?




――こうなったら放送から離れて……。




ココネ:『あっ、逃げないでくださいね。今グループ通話に繋げますから』


ユイ :『うにゅ、ユキくんアバターを登場させて……と』




 勝手にユキのアバターが表示されてしまう。

 そして、本当にキャスコードから通話がかかってくる。



――この通話、出なくても……。




ココネ:『もし、出なかったらユキくんとのコラボはお泊まりオフコラボにします』


『こ、怖いよ!? それになんで僕の考えを読んでるの!?』




 ココネの言葉に思わず通話に出て声をあげてしまう。




ココネ:『ユキくん、わかりやすいですからね。と、いうことで皆さんお待ちかね、雪城ユキくんの登場です!』


ユイ :『ぱちぱちー』




 やる気なさそうなユイの声が聞こえて来る。

 それに合わせてコメントも一気に流れていく。




【コメント】

:88888

:88888

:88888

:88888

:ユキくんだw




『ゆ、雪城ユキです。みなさんこんにちは。じゃ、じゃあもう出たからもう良いよね? それじゃあ僕はこれで。お疲れさ――』


ココネ:『まだ帰ったらダメですよ? それよりも誰とコラボすることになったのですか? カグラさんですか?』




【コメント】

神宮寺カグラ🔧:私なのか? 何も聞いてないけど

:w

:w

:カグラ様じゃなかったw




ユイ :『うみゅ、それならゆいともコラボするの。明日で良い?』


『ちょ、ちょっと待ってよ。こ、コラボはアカネ先輩からだよ。その……イラストももらっちゃったし、うっかり僕が頷いちゃって――』




【コメント】

美空アカネ🔧:ふふふっ、ユキくんの2回目は私のものだ!

:出た、暴走特急w

:まさかユキくんに突撃したのか?

:ユキくんじゃ暴走特急を抑えることなんてできないんじゃないか?

:早く海星パイセンを呼んでくるんだ!

:ユキくんの身が危ないぞ!




――なんだろう。アカネ先輩、すごい言われようだった。



 いや、動画を見たらわからなくもない。

 常に興味を持った方向へ全力に突っ込む。


 それを抑えることができるのは数少ない。




ココネ:『ゆ、ユキくん、そのときは私も呼んでね。ユキくんは私が守るから……』


ユイ :『うみゅ……、骨は拾って上げるの……』


『ちょっと待って!? どうして僕、死ぬ流れになってるの!?』


ココネ:『だ、だって相手はアカネ先輩ですよ!? シロルームで一番危険な人ですよ!? ユキくんも警戒なくポンポン受けたらダメですよ!』


『うっ……、ご、ごめんなさい……』



 そこまで危険な相手とは思わずにみんなに心配をかけてしまった。

 さすがに反省をせざるを得なかった。




【コメント】

美空アカネ🔧:酷い言われようじゃないかな? 何もしないよ? ただ喋るだけで

海星コウ🔧:全く、余計なトラブルを起こさないでよ!

:飼育員きたーw

:海星パイセン、お持ち帰りお願いしますw




 コメント欄に一期生の海星コウかいせいこうが現れたことで、コメントが更なる盛り上がりを見せていた。

 そんなタイミングでユキのスマホから通知音が鳴る。



『あれっ? 担当さんからだ……。[コラボはアカネ先輩とコウ先輩、二人一緒にしてもらいます。ユキくん一人だとまだ危ないので。あとコラボ配信をするのはシロルームの規約上、一月先になる]らしいです。断ることは……できないみたい』


ココネ:『コウ先輩がいるならまだなんとか……』


ユイ :『うにゅ。ユキ、がんばっ。ゆいのコラボも忘れないでなの』


『うん、ありがとう、ユイ……って、また!?』


ユイ :『うみゅ、みんな聞いてたよね? ユキくんとのコラボが決定なの』


ココネ:『ユキくん……、素直すぎます……』




【コメント】

:ユキくん草

:草

:w

:w

:w

:ユイちゃんは策士(自称)だもんな

:今のはユキくんが素直すぎるでしょw

:またってことは暴走特急の方も……

美空アカネ🔧:なるほど、これをすればユキくんとコラボし放題……

海星コウ🔧:ユキくんに嫌われたいの?

美空アカネ🔧:こ、今回だけだよ




『わ、わかったよ……。約束したのは僕だし、いつかしないといけないことだもんね。頑張るよ……。えっと、日にちは五年後くらいで良いかな?』


ユイ :『ゆみゅ、長いの! 一応ココママが最初って決まってるから次の日がゆいなの! アカネ先輩は五年後で良いの!』




【コメント】

美空アカネ🔧:私は今からでも良いんだぞ? 服を脱いで待ってる!

海星コウ🔧:じゃあボクはアカネにかける氷水を準備しておくね

美空アカネ🔧:やっぱり服を着て待ってる。だから氷水はやめて

:なんだろう、このカオス空間

:別にいつものシロルームだろう?

:それよりカラオケ対決はどうなったんだ?

:満点を取ったユイちゃんの勝ちだろう? どうやってもココママは引き分けしか取れないわけだし




『あっ、そっか。カラオケ対決の邪魔したらダメだね。僕は今度こそ消えるね』


ココネ:『うん、またね』


ユイ :『うみゅ、ばいばーい』




 二人に見送られて、通話終了を押す。

 そして、僕がいなくなってからは再びカラオケ勝負が始まっていた。


 二時間にも及ぶ勝負の末、ココネも満点をたたき出し、勝負は引き分けに終わっていた。

 ただ、僕としては二人とコラボをすることになってしまったので、この勝負自体に何の意味もないけど。




ココネ:『中々やりますね、ユイちゃん』

ユイ :『うにゅ、そっちも。まさか追いつかれるとは思わなかったの』




 二人の中で熱い友情が芽生えていた。




この放送は終了しました。


『《戦争勃発》ユキくんの初めて争奪カラオケゲリラオフ《真心ココネ/羊沢ユイ/シロルーム三期生》』

1.4万人が視聴 0分前に公開済み

⤴4,326 ⤵94 ➦共有 ≡₊保存 …


チャンネル名:kokone_Room.真心ココネ

チャンネル登録者数3.3万人




◇◇◇

【コメント】

:いい話だったw

:あれっ、最終回?

:俺たちの戦いはこれからだ

:ココユイ、いいね

:引き分けに見えてユキくんの一人負けw

:確かにw

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