三十一日目『明かされていく真実』
「ラファエル。そういえば、奴らの命令でお前をここに閉じ込めていたのか。それも確か……」
「天界のことを知っているから。だから僕はドラキュスと名乗るお前に情報を聞き出されていた。だが案外、お前は良い奴だったみたいだな」
だがラファエルはリーフィアやドラキュスに何が起きていたなどかは知らない。
誤解を解くため、リーフィアは話した。
「ラファエル。ドラキュスは今まで私に乗り移っていた魔族なんだ。だが私はドラキュスから体を取り戻した。というよりかは、返してもらった。だから君が今まで会っていたのは、私というよりかはドラキュス。つまりは今の私ではないんだ」
「なんかよく解らないけど、大変な事態になっているようですね」
リーフィアはずっとばかし気になっていたことを言った。
「なあ。ところでその男は……誰だ?」
「ああ。この人はルナ王国の国王ですよ」
「まさか……なるほど。つまり、最初からこの国は乗っ取られていたのか。あの忌まわしき十人の魔族に」
世界の謎は少しずつ明かされていく。
まるでパズルが解けていくような感覚、だがそれと同時に最初から支配されていた国へと入った自分にラファエルは心の中で憤怒を抑え込んでいた。
「リーフィア。今のあなたが味方というのならば、忌まわしき魔族を倒しましょう」
「ああ。あとこれはドラキュスの記憶を見て分かったことだが、魔王とこの十人は今まで一度も繋がっていない。つまりは、もしかしたら魔王が死んでいる可能性があるということだ」
「なるほど。魔王が死んでいる……か。もしそれが本当ならば、十人の魔族を倒せば全てが終わるのだろうな」
「ああ。私の世代の勇者は……きっと生きているなんて……そんなことはないだろうに」
リーフィアはどこか遠くを見ていた。
過去を思いだし、懐かしさを噛み締めては涙を振り払う。
「ラファエル。この施設にいる勇者たちを外へ解放しよう」
「解放?いえ、彼女らは天使ですから」
「ん?何を言っているかは解らないが、ラファエルがいた世代の勇者は皆行方不明になっている」
「行方不明!?」
先ほどまで表情を一切変えず話していたラファエルであったが、行方不明という言葉を聞いて動揺を隠せずにいる。
「で、今いる勇者は使い物になるのですか?」
「物ではない。だがな、あいつらはきっと世界を変えてくれる。
リーフィアはドラキュスの記憶を見て彼らに期待をしていた。
まだ一人一人は分裂してはいるものの、それぞれは強い思いをもち、そして強いことは確かだ。
そんな彼らに淡い期待を寄せる。
「ではその勇者を皆引き連れてこの施設から脱出しましょう。でなくては、いつかここも破壊されるでしょうし」
「ラファエルは先に出口に行ってくれ。もしそこに敵がいれば真っ先に私のもとへと戻ってこい。いいな」
「ああ。分かった」
ラファエルとリーフィアは二手に別れ、ラファエルは国王を背負い、この施設から遥か上の階に続く螺旋階段へと向かい、リーフィアは勇者がいるであろう訓練所へと向かう。
「勇者たちよ。まだ死なないでくれよ」
リーフィアは焦り、急ぎ足で訓練所へと向かう。
だがそんな不安を逆撫でするように、訓練所ではモンスターが現れていた。背中に翼が生え、鋭い爪を持った化け物。
「レフィーネ。こいつは……」
「ノヴァが言っていた……これが……」
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