第16話 変わったやつ・・・王族問題
「なんか変わった戦いでしたね」
「そうですね、いつもの茶番劇を派手にしていただけですね」
そう実況するデン君達
おれの戦いもあり、今のこれだ……みんな疲れている。
予定より30分遅れている。
しかし《クシィVSイリュウ》の2回戦第4試合が残っている。
学園の順位は開示されていない、俺だけ髭に頼んで見せてもらった情報だ。
次に戦うイリュウは学園2位、リリスPTだ。噂では学園1位スザクとも肩を並べるとも言われているが、実際は誰も知らないらしい。それにイリュウはすごい……今の今まで寝ていた。俺の戦いとか気にならないのだろうか?
それに対してクシィは学園12位、前衛だとおれを除けば4番目ジャックPTだ。
こいつも多分もっと実力があるタイプの1人だ。欠点はあがり症、いつも隅っこでボソボソっている。一度訓練で1:1で出会ったことがあったがこいつだけオーラが違った、人を狩るタイプの人間だ。
それにこいつらは同じギルドパーティーらしい、仲がいいのかはわからないが、お互いを知っているといったところだ。
俺は楽しみなのだが全員興味が薄れている……だってみんなからすれば、寝ているやつと隅っこのやつの戦いだからだ。
2人がフィールドに入っていく。
「そろそろ時間だぁ! 本日のラスト試合! お前ら準備はいいかぁ!!」
元気なのはデン君だけだ。
「それではREADY………」
「…………………………」
物音がしなくなった。
「ん? どうしたデン君?」
と俺が周りを見渡すと…
「なんだこれ?」
衝撃を受けた……その場にいた全員が寝ていたのだ。
「あれ~? ルーシュくん? なんで寝てないの?」
すぐ横に立っていたのはニコニコしたイリュウだった。
「どういうことだ? お前何した?」
「何って僕の能力バレたくないから全員に寝てもらうつもりだったんだよ~ 1人起きてるのは謎だけどねぇ」
「ちょっと待て、ならお前なんでこの戦いに参加した? 戦う意味がないじゃないか」
おれは警戒した。
「そうじゃないよ、君にバレたくないってことね。決勝は僕が行く。クシィはよく知っている、あいつも勝てないのはわかっているみたいだけど、腕試しだと言って本気で来るらしいからちょっと本気出さないといけないし。戦い自体はちゃんとするよ、けどねぇ……君は見ちゃだめだ」
変わったやつだヘラヘラした割に言葉に威圧感がある。
「だから今日はずっと寝て俺の観戦をしなかったわけか。お互い能力を知らないまま戦いたいわけだ。本当は真面目な人なんですね」
「あはは、どう思ってもらっても構わないよぉ。でも見るのは許さない」
「そういう理由ならおれは見ません。後でこの状況説明する時は俺が立ち会ったともいっておいてあげますね」
「ありがとぉ」
フィールドに向かうイリュウ
「明日は? リリスとの戦いはどうするんですか?」
おれは聞いた。
「大丈夫あの子はクシィより弱いよ。多少魔法使うけど何の影響もないと思ってるよ」
「でも知ってしまったし明日も見ないでおきますね」
「君も変わった人だなぁ。後悔しないように……あとその変な敬語やめていいよ」
ニコニコとフィールドに入っていった。
(あまり話さない人には敬語のつもりだったけど少し動揺しちゃったかなぁ)
そう考えながらおれはその場から離れていった。
(にしても、大胆なやつだな。全員眠らせればいいってそんな風に思うか? 記憶改ざんとかじゃなくてよかったがそんな大掛かりなことできないか。なら俺に魔法が効くのか試したとか……余り考えるのも辞めとこう)
他にもなんで知られないまま戦いたいのかとか、急にやる気になっているのかとかは不明だ。
「おい起きろ」
先輩だが顔面を少し殴った。
「ん……ぴ、ピザ! っておれは何の夢見てんだ?」
「おおっとどういうことだ? おれは寝てしまっていたのかぁ?」
起きてすぐ元気になるデン君、これは逆にすごい能力だわ。
その声で続々起きてくる。
誰も状況がつかめていないがデン君が気づく
「何ということだぁ! おれの知らない内に勝負が終わっているぅ。解説者のメロ氏もみていないのですか?」
そう話を振るデン君
「え……」
メロは何が起こったのかと思考を巡らせているのだろう。なにか感づいたのかこっちを見てきたが、おれは知らんふりをした。
「ちょっとおれ試合の行方聞いてきます」
とデン君がクシィとイリュウのいる医療室の方へ向かって走っていった。
お互いダメージがあったらしく医療室で術を受けていた。
デン君は2人の話を聞いて出ていった。
「なぁイリュウ明日どうする?」
おれはイリュウにこのダメージと明日も戦いがあることについて聞いてみた。
「決勝が明後日ならダメージはないと思うからその方が良いかなぁ」
どう戦ったらこんなボロボロになるのだろうか……クシィは意識も戻っていない。イリュウも包帯巻き巻きだ。実戦なら腕一本無くなってもおかしくなさそうな状態に見える。
「ならお前の意見尊重した形で話してくるから。明後日決勝で」
その後おれは状況を話し終えたデン君に、決勝は明後日になるということも伝えてもらった。
本日の長い一日が終わった。
トントン
夜の21時ころだった。
「ルーシュさんいますか?」
「開いてるよ入って」
そう言って入ってきたのはアーサーだ。
今日の夜話そうと部屋に誘ってあった。
「こんばんは遅くにすいません」
「いいよ、開いてるとこ座って」
「ん? 誰か来たのか?」
ロロとヴィニーも気づいてこっちにやってくる。
「こんばんは、兄さんとヴィニーさん」
「えぇ兄さん?」
おれはびっくりした。
それを聞いたロロは
「おお、アーサーか久しぶりじゃないか何してたんだ? それにこの学園に入ってるって聞いてないぞ」
「いえ僕もお忍びでしたので兄さんたちは目立ちすぎでしたけどね」
笑って話している。
「まてまて、兄さんってなんだ? 先説明しろ」
「すいません。改めて《アーサー・ヴァイオレット》といいます。学園では《アーサー・セルヴィン》と名乗っていますが。兄さんとは実の兄弟ではなく従兄弟です。お互い一人っ子だったもので実の兄のように慕っておりました」
「父の弟、叔父の子だ。それにしても1年ぶりくらいかどうだ強くなったのか?」
(成績はロロのほうが上だが戦闘だとアーサーの方が強い、黙っておこう)
「それにしてもアーサー様がこの学園に入っていたなんて全然知りませんでした。やはりあの事件で、ですか?」
ヴィニーも知らなかったようだが、なにか思い当たる節があるようだ。
「はい、5年前父が亡くなってから……いえ暗殺されてから入学しました。あの時王国内で色々問題があったのでおれが身を隠すのも兼ねてこの学園に隠れるように」
「暗殺? 何だこの時代問題ばかりか?」
おれは何も聞かされていないことにびっくりする。一度歴史を真剣に学ぶ必要がありそうだ。
「私から説明しますね。5年前に王の弟君が奥様とともに何者かに暗殺されました。その時は王も疑われ。内部の人も何人かが死刑になり、王国から離れていく人も多かったのです。ここ最近は王1人で何事も行っており。《闇夜》の事件で全く機能ができなかったのもそのせいでもあるんです。でも前言った様に今はガル様がお王国に手助けしていただいていますのでなんとか持っていると言った状況でして」
「なるほど王族が少ないと思っていたが、そういった事情もあったのか。でも1年ぶりって言ってなかったか?」
「それは儀式とか式典の日にはアーサー様は必ず出席されていたのでどこか遠い場所にでも住んでいるものと思っていましたがこんな目と鼻の先にいらっしゃったとは」
「ならなんですぐ声かけなかった?」
ロロが聞いてきた。
「それは名簿見た時に兄さんも身分隠していたのと見たこともない怪しい人と一緒にいたもので少し様子を見るようにと言われていました。でも国王が不在になった件とルーシュさんが賢者様と知り接触の機会を伺っていました」
「怪しいやつって……その機会がこのトーナメントだったおいうわけか。それなら普通に話しかけてくれても良かったのに」
「そうですが何も知らない状況で戦ってみたくて。すぐバレちゃいましたけどね」
笑って話している。
「そういうがおれは光魔法がレアだなぁって思っただけなんだけどな」
「何だ賢者様になってもアーサーのこと見抜けなかったと大したこと無いな」
ロロが口を挟む。
「でも、おれの魔法は岩と風の混合という風になっています。光魔法自体は隠して戦っていたのですがあれみられてすぐ気づいたのは先生含めルーシュさんだけです」
「俺は特別だからな感知能力も人並み以上だ。それで聞きたかったことなんだがな」
と、こんな感じでアーサーとは王国の現状の話、アーサーにも学園内ので協力等を話し合った。
学園を知っているやつが味方につくのはこちらとしては大きい。パーティーで動くときもこの4人なら動きやすい。思わぬ収穫でおれはこの先の予定も早く進められると喜んだ。
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