第13話 2回戦目・・・それと急展開
その後の戦いはロック、リリス、も登場し勝ちを勧めてきた。
何も情報引き出せなかったがイリュウも難なく勝っていた。
どんでん返しもなく俺の言っていたとおりベスト8は予想通りの結果になった。
①ジャックPTの《レイン》 学園 6位 20歳 女
①リリスPTの 《アーサー》 学園25位 15歳 男
②ジャックPTの《ディムズ》 学園35位 19歳 男
②ルーシュPTの《ルーシュ》 学園10位 16歳 男
③リリスPTの 《リリス》 学園18位 12歳 女
③ロックPTの 《ロック》 学園15位 20歳 男
④ジャックPTの《クシィ》 学園12位 18歳 男
④リリスPTの 《イリュウ》 学園 2位 17歳 男
学力テスト込みの成績なので強さだけでは少し変わってくると思う。俺もしかり特にリリスはもっと上だと思う。他に隠してる能力持ちもいるかも知れない。
「ルーシュ、私達は決勝だね!」
声をかけてきたのはリリスだ
「そうだな。そう言えばさっきは一発だったな」
先程の戦いで今大会最速2分、しかも一撃という戦いだった。
「えへへ、もっと褒めて」
「まだ体力もあるし次もビシッと決めたいところだな」
「はいっがんばります」
「もう決勝の話か? 気が早いねぇ」
この嫌な感じはロックだ
「あんたには1回勝ってるし、イリュウはいつも寝てるからわたしが決勝に行くのが普通だよ」
「言ってろ。イリュウどころかおれにも勝てねぇよ。おれはまだ本気を出していない」
「それ、すぐやられる敵のセリフだよ?」
リリスは純粋なのかおちょくるのがうまいのかわからん
「おい! 今ここでやってやろうか」
「ロック熱くなりすぎだ。このあと戦えるんだ空気を悪くするな」
おれが止めに入る
「お前もジャックに勝ったからって調子に乗るなよ」
ロックはそのままどこかに言ってしまった。
「悪いやつじゃないんだけどすぐ頭に血が上るよなあいつ。それにイリュウもまだ何か隠してるし油断しちゃダメだ」
おれはリリスに気を悪くするなよと声をかけた。
「ふんっわたしロック嫌い」
リリスも不機嫌そうに出ていってしまった。
部屋の隅でクシィがボソボソ独り言を言っていた。
「あれ? おれイリュウに負けるの確定なの?」
ジャックPTはみんなあんな感じなのでほっておこう。
少し時間があいたがこのまま2回戦第1試合が開かられた。
勝ったほうが明日おれと戦うことになるのだが6位と25位勝つ方は決まっている。
このままだとジャックPT3人と当たるとか実質壊滅させるようなもんだな…。
と考えていると会場が盛り上がっている。
「ここでクリーンヒットは痛いぞレイン選手~」
実況者のデン君が熱くなっている。
予想打にしなかった展開20分と経ってもなお決着がつかないそれに押されているのは6位レイン
「あれ? どうなってんのこれ?」
あの後リリスと話していて観戦していなかったおれはこの状況をジャックに聞きに来た。
「それがよ。レインが長引くのが嫌だからって最初から全力で行ったんだ。まぁそれで決着つくと思ったが、それを見越していたのかことごとく防がれて今やジリ貧状態さ」
戦略も大事だが明日を考えると早めに決着を付けたい、アーサーはそこを利用したというわけか。
レインはモデル体型の女性でお姉さんタイプだ。みんなの憧れで更に強いといった羨ましがられる存在。気が強いのが欠点でこういった速攻を好む。
それに対してアーサーは防御タイプ我慢して溜めて開放するタイプだ。真逆のタイプがうまいこと噛み合った時一方的な展開になる。
溜められる前に決着をつけるか、我慢して魔力切れを狙う、といった展開になる。
「展開はこうだ」
ジャックが話してくれる。
レインは身体の柔らさを使って予想外の場所からの攻撃が得意な格闘タイプ、それに加えて空間に魔壁を生成し逃げ道を塞いだり、自分が飛び跳ねたりするのに使うスキルを持っている。
それを駆使し一気に間合いを詰め攻撃をしていたが途中で転ぶようになったという。解説者メロが言うにはアーサーが生成した壁を壊していって動きを封じていっていたらしい。あるべき場所の壁がなくなり着地や思うように動けなくなったところに一撃を貰ったと言う訳だった。
「それにメロはどうやって作った壁の場所を判断し使う前に壊したかがわからないとも言っていた。だから余計に体力を使ってしまって判断が鈍ったんだよあいつ」
ジャックは話してくれた。
「面白いなそれ。続き見させてもらうわ」
おれはジャックの横に座った。
現状はというと、ダメージの大きいレインを追いかけるようにアーサーが手についた武器を振り回している。見た目はナックルだが肘まで覆われている、それにアーサー自信が青白く光っていた。ナックルが何かに接触すると拳から青白い爆発を起こして大きなダメージを引き出しているようだ。
攻撃のたびに出る青白い光がまとわりついているようだ。一定量だろうか? 周りで光っていた青白い光がアーサーを包み込んだ。その瞬間真っ白に光った。するとアーサーが全身に鎧を着たような格好に変わっていた。
たぶん攻撃や防御で力をため段階的に強くなっていくスキルだろう。それがマックスまで上がると全身が鎧に包まれステータスが大幅に上がるといったところか。
試験だとそういう時間はなかった、だから本領発揮できていなかったというわけか。
(こいつおもしろい)
白い鎧に包まれ青いラインが光るデザイン。アーサーは更にゴツゴツしたナックルをかざし一瞬で間合いを詰め力いっぱい振りかざした。
「試合終了~~~アーサー選手の勝利!!」
負けると思われていたアーサーが勝ったことで更に盛り上がると思われた会場だったが、残念なことに美女をボコボコにしたアーサーはめちゃくちゃブーイングも受けていた。おれが戦っていたらと思うと悲しくなる…
おれはフィールドと音声をつないでもらって、乗り出して叫んだ。
「おいっアーサー聞こえるか? その状態いつまで続く? 明日それもう1回できるのか?」
大きな力には代償がある。
「ル、ルーシュさんですか? えとこれはあと30分は持ちますが多分3日ほどは使えないと思います……」
「今から戦えるか? 俺と!」
急な展開に会場がザワめきだす。
「15分休め、そして15分で俺がお前を倒せなかったらお前の勝ちでいい。どうだやるか?」
アーサーは少し考えたが
「はいっぜひ戦わせてください」
「おお~っと! 急展開この状態が切れてしまうと見抜いたルーシュ選手、今から戦えと強制的に乱入だぁ。これは許されるのか?」
デン君が会場のみんなの代わりに話してくれている。
「普通は認められませんね。けど明日この状態にならないアーサー選手は勝ち目がないということでこの条件を飲んだのでしょう」
メロも俺の提案に乗ってきてくれている。
「それじゃ納得行かない」
そう声をかけてきたのは俺と戦うはずのディムズだった。
「わかってますよ、今すぐ準備お願いします。15分と言わず先輩は1分ですけど」
おれは目も合わせずにフィールドに入った。
「デン君合図を」
おれは早くしろと言わんばかりに実況者にも催促をした。
ディムズは納得していないようだったが次戦う予定だったので準備も終わっており10分早く始まるだけだと思い直し会場に入ったようだ。
「面白い展開になってきたがこれは満場一致ってことでいいのかな!? みんなぁ~」
デン君がもう一度確認を取る。
『早く始めろ』とか『いいぞ』とか『そもそもディムズが勝てるかよ』とか色々言われていたが
戦いが始まった。
フィールドは砂漠
(あそこまで言ったんだ、ディムズは逃げることはしないだろう)
パチンと指を鳴らし砂を斬って砂埃を巻き上げた。
案の定、場所がわかればすぐにこっちに向かってくる。その影を確認し俺も突っ込んだ。
「よくもおれがお前と戦えるのを楽しみにしていたのに、ただぶつかって終わりとかそんなしょうもない終わり方だけはしたくなかった! 少しでもお前に爪痕を残してやられたかった。このボケェ!!」
と、なんか投げやりなセリフが聞こえたがディムズはハンマーを振りかざし砂に叩きつけた。
こいつはジャックPT、弱くはない慎重で影も薄いキャラ、隠密にはもってこいのタイプだ。それが周りに隠れるところもない砂漠フィールド、砂埃をたて視界を奪ってくる。分身か影を使って残像を作ってるのかは知らないが5体ほどに増えている。
おれはすべての影を狙い、構えた。
パチンッ
綺麗に響いた。
「まもなく約束の15分になります。フォールドは山。お互いの準備はできていますでしょうか?」
デン君がうまいこと進行してくれている。
アーサーもあの状態だと回復も早いようでほぼ全快だと言っていた。ちょっとチートな能力なような気もする…
「イリュウ以外にも楽しめそうなのがいるなっ」
俺はアーサーに向かって話しかけた。
「おれもルーシュさんと戦いたくて参戦しました。レインさんと当たってしまってこの状態にならないと勝てないと思って少し落ち込んでいたんですけど、ルーシュさんありがとうございます」
アーサーは俺と全力で戦えないと思っていたようだった。
「それとのその
俺は不意を突いた。
「あぁ……お見通しでしたか賢者様」
「え? なんでお前それ知って……」
俺も不意を突かれた。
「あれ? おれのこと知ってて言ってきたんじゃなかったんですか?」
アーサーもわけがわからなくなっていた。
「まぁ、すぐわかることなので後で全部話しますね。ちなみに内緒ですよ」
アーサーは落ち着いていた。
「お互いにな」
俺はまた面白くなったと思った。
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