クラスメイトに魂（中の人）バレした俺の話

第83話 あらためて挨拶を

　大会への参加を発表する動画を投稿した翌日、予定通りに『金次郎地鉄』の配信を始めていた。

「配信始まりますよー、っといいたいところなんですが……皆さん、動画見てくださいましたかー？　……あ、見てくれました？　あっ、今見てないって人いましたね！　ぜひぜひ見てきてください、お願いします！　……って、なんで『スレスレンダーマン』さんが参加費払ってるんですかー！？」

\\\

　配信を終えた後、海菜が部屋に来ていた。

「兄ちゃん、水玉が発表したら、水玉のSNSのアカウントをフォローして～？」

「いいのか？」

「デュオ組むのにフォローしてないとちょっと騒がれそうだからね」

「それで仲悪いと思われるのもあれか」

「あと、水玉の動画にもコメント残してあげて～」

「コメント？　よろしくおねがいしますとか？」

「ほら、水玉と『山幸うみ』は一切関わりがなかったし、その、水玉が勝手に言ってるだけとか疑われても困るから」

「動画再生中の方がいいか？」

「終わった後の方がいいかな」

「了解」

\\\

『も、もしもし？』

「銀河さんですか？」

『はい、あの……フォローされてたんですけど……』

「フォロー返しておいて」

『あ、海菜もいるんですね』

「大会は一週間後だから、それまではある程度やりとりしてもいい」

『あー……もう後戻りできないんですね……』

「できたのは連絡してから2日間くらいだけだった」

『まあ、今更言っても仕方ないよね』

「そう。あと、一回は配信で『ばか×ろわ』をした方がいい。印象的に」

『練習してなかったとか言われちゃうもんね、了解！』

「あと、メールでも送ったと思うけど、返答は用意しといて」

『あれを聞かれるってことだよね？』

「送った質問とそのままではないかもだけど、聞かれる内容は同じだから、準備しておけば問題ない」

『うん、だ、大丈夫かな？』

「最悪兄ちゃんに頼ればいい」

『え、悪いよ』

「『最悪』だから。迷惑かけたくないならしっかり準備して」

『はい！』

「改めて聞くけど、コラボはしなくていい？」

『う、うん。流石にそれは緊張しすぎちゃうから……』

「ヘタレ」

『へ、ヘタレ！？　そんなことないでしょ！』

「まあ、こっちからすれば本番にちゃんとやってくれるなら問題ない」

『う、うん。頑張る』

「そう。……この時期に炎上したら許さない」

『しないから！！』

「それで、兄ちゃんにかけてきた理由は？」

『改めてよろしくお願いしますって言おうと思って？』

「こちらこそよろしくお願いします」

『は、はい！』

「……兄ちゃんとの会話で最初どもるの気持ち悪いから直して」

『仕方ないでしょ！』

「いつまでも緊張するな。これから、というか、1週間くらいはコンビだと思って、対等の立場にいると思って。変に恐縮されてると、兄ちゃんの言ってることがパワハラにしか聞えない」

『パワハラ！？　全然のそんなこと思ってないですからね！？』

「見てくれてる人たちが考えちゃうかもしれないので、頑張ってくれると嬉しいです」

『が、頑張ります！』

「兄ちゃんと頻繁に連絡とるように言ったのに何も変わってない」

『これから頑張るから！』

　海菜がベッドで横になりながらため息をついていた。

　年も違うし、ある程度は仕方ないのかな。

　気にしなくていいんだけど、簡単に直せないだろうし。