第70話 友達の妹と……

「それもあっちと相談かな~。話題性では当日が初めての方がいいけど、前日にやっておくのもありかな」

「いきなりで大丈夫か?」

「……どうだろ~? 逆に前日に興奮して、本番何もできないとかになりそうかな」

「そんなことあるか?」

「ちょっとありそうなんだよね……」

「まあ、宙音さんとすこし話してみるよ」

「『銀河水玉』ね」

「そうだな。呼び方も決めないとだな」

「水玉って呼ぶにしても、そうするなら配信内で決まったって風にしなきゃいけないから、最初は銀河って呼んだ方がいいと思うよ~」

「いきなり名前呼びしてたら問題か。銀河さんね」

「あっちにも山幸って呼ぶように言ってあるから」

「了解」

「じゃあ、これね。教えることは言ってあるから」


 『友達』欄でいいんだろうか?

 『仕事』欄……?


「ん~?」

「海菜、通話掛かってきてるけど」

「うん……もしもし?」

『あ……な? ……! ……』

「あ~」


 海菜は耳にスマホを当てながら、こちらを見た。


「……はい」

「?」


 差しだされたスマホを受け取って、耳に当てた。


「海菜、聞いてる!? 山梨さんが追加されてるんだけど! これ許可していいんだよね! ね!?」

「あ、えっと……代わりました。できれば許可していただけると……」

「っ!? あ、はい! ごめんなさい!」

「……」


 海菜はスマホを置いて部屋を出て行ってしまった。

 俺に用があったわけじゃないと思うんだけど。


「山梨さん、じゃダメでしたよね……山幸さん」

「……はい、銀河さん、こんにちは」

「こ、こんにちは……」

「しばらくよろしくお願いします」

「は、はい! 末永く!」

「海菜から勝手に代わってしまってごめんなさい」

「いえいえいえいえ! 大丈夫です! わかってます、海菜ですし!」

「海菜と仲良くしてくれてありがとう」

「こっちこそ、いつもお世話になってしまって……」

「これからも仲良くしてあげてください」

「はい……」

「……」


 共通の話題となると海菜のことになってしまうんだけど、それだけ話しているわけにもいかない。


「内容は見ましたか?」

「はい! ありがとうございます!」

「全く知らない相手よりは緊張しないで済むかもしれませんしね」

「あ、ありがとうございます!」

「銀河さん、前日にコラボしておくかについて聞きたかったんですが」

「大会の前日ってことですよね? 2徹は流石に」

「いえ、徹夜にはならないと思うんですけど……」

「大会当日は徹夜テンションのまま乗り切ろうと思ってたんですけど……」

「できれば寝ていただいて……」


 たしかに、大会に出るってなったら興奮して当然なのかもしれない。


「あっ! 嫌とかじゃないんですよ! コラボしていただけるなら今日から毎日でもいいんですけど! でも、迷惑になっちゃうので」

「あはは……」


 毎日は肉体的にも精神的にも持ちません。


「1日は頑張ります! それ以上は興奮してしまうかもしれなくて、山幸さんに頭のおかしい人とコラボさせてしまうことになるので……」

「大げさですよ」

「全然おおげさじゃないです!」

「当日まではコラボしないということでいいですか?」

「ごめんなさい、おねがいします」

「わかりました。また連絡します」

「はい、よろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」

「はい、こちらこそ……」

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