第71話 秘密
「おはよ!」
「おはよう」
「おはようございます」
初華さんと話していると、星那さんも教室へやってきた。
「カイトさ~」
「はい」
「宙音と何かあった?」
「ぎ……宙音さんとですか?」
「なんかテンション高かったんだよね~」
星那さんにも言っていないらしい。
「ちょっとわからないです」
「そっか~。教えてくれないからカイトなら知ってるかと思ったんだけど」
「そういう日もあるでしょう」
「確かに~、去年も何かテンション高い日があったかも!」
「星那が普段からテンション高いせいで感覚がおかしくなってるんじゃない?」
「ひどくない!?」
\\\
大会までは時間があるようで、あまりない。
再来週の金曜日に参加を発表することになるので、それ用の準備をしておかなくてはならない。普段は金曜は配信をしていないので、発表といれると少し勘繰らせてしまうかもしれない。
『山幸うみ』は金曜日に発表するが、木曜日から発表しても良いことになっているので、何人かは木曜日に発表するだろう。全員でなくとも、一部の人は参加を察するはずだ。
動画のタイトルや概要欄に書く文章は短いとはいえ、英語表記することを考えれば、ある程度時間がかかる。
俺や海菜は学校で習った程度の英語しかできないし、正確であるかも確認できないため、今までも父さんに協力してもらっていた。今回もそうなるだろう。
今回は配信ではなく、動画で、多くの人に見てもらえるように短いものを作らなくてはならない。どのくらい短くするかは海菜と相談しないと……
「カイトー?」
「はい、どうしましたか?」
「ごはん、食べないの?」
「食べます」
お弁当箱を開いたまま一口も手を付けていなかった。
「どうしたの~?」
「ちょっとぼーっとしてました」
「具合が悪かったら言ってくださいね? 保健室まで付き添いますし」
「体調は全然大丈夫です」
「そうですか?」
何か考えるにしても家に帰ってからにしよう。
このままだといつまでも考えてしまって、授業に集中できないだろうし。
それに、何かがあると思われても、正直に言うわけにいかないから、ごまかすしかなくなる。
「ん、カイト、スマホふるえてない?」
「え」
ポケットから出すと、確かにメッセージが来ていた。
『今何していますか?』
お昼ご飯を食べています、と。
銀河さんには、授業中に返すことはできないけど、送ることはいつでもいいと伝えてあった。あちらも学校があるらしいので授業中に送られてくるなんてことは滅多にないだろうけど。
「誰から~?」
「あー、海菜、妹からです」
「カナちゃんか~、私まだ会えてないんだよね~。会いに行ってもいい?」
「私も良ければ会ってみたいです」
「海菜に聞いてみますね」
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