第59話 変化

「はい、今日の配信もおしまいです。あ、頑張って数えてますよー、土曜日を楽しみにしていてくださいねー? ではでは、おやすみなさーい」


 配信を終えた後、すぐに集計に移る。

 やっぱり気になっている人も多いみたいだし、遅れるわけにはいかない。

 とはいえ、本当に疲れる。何度も答えている人は一つにしたり、除いたりしなくてはいけないし。



¥¥¥



 廊下から兄ちゃんの部屋の音を聞いて、入るのを控える。

 まだ作業をしているみたいだし、邪魔になるかもしれない。

 『山幸うみ』の配信の概要欄やSNSで注意をしていても、守らない人も少なくない。全員が守っているのなら、集計ソフトに入れるだけで終わるのに。

 正直に言ってしまえば、もっと適当でいいのにとも思う。

 実際にやるのは2つなのだから、細かいのは集計の必要はない。何度も伝えたけど、前に隠れてやっていたから結局手伝うことにした。

 同アカウントのコメントなら省くこともできるけど、名前の違うアカウントを複数使ってコメントしている人は防ぎようがない。

 だから、本当の意味で正確な結果など出るわけもないのに、生真面目に兄ちゃんは集計しようとするから、作業が増え続けている。ここに立っていても仕方がないし、部屋に戻ろう。


 兄ちゃんに集計は手伝わなくていいと言われたので、折角スケジュールを早めたのに暇になってしまった。もう夜だから寝ればいいんだけど。

 なにかゲームでも作ろう。



¥¥¥



「はい、今日の配信もおしまいです。あ、頑張って数えてますよー、土曜日を楽しみにしていてくださいねー? ではでは、おやすみなさーい」


 うみくんの配信が終わった。

 それをウチはベッドの中で聞いてる。

 今までだったら、興奮したテンションのまま配信を始めてたりしたんだけど、休止している以上、配信することはない。


 1週間とかでよかったんじゃ、とも今考えれば思っちゃう。

 疲れてたんだし仕方ないんだけど。

 海菜のこともあったりしたから、はやく試してみたいというか、休止期間だけどコラボ依頼のメールを送ったりはしている。


 今返事を待っているのは登録者は57万人の『猫屋敷ネコヤシキ マオ』というVtuber。

 海菜が選んでくれて、順番付けもしてくれた表の上から送っていってる。

 同時に二人の返事を待ってもいいのかを聞こうと思ってたんだけど、もう夜になっちゃったので、明日海菜に聞こうと思う。


 することもないし、うみくんの前の配信を見よっかな? それともゲーム?

 自分の配信がないと結構、自由な時間があるんだってことに気づいた。

 いや、やめたりとかはしないけど。

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