第46話 寒い日が続いていますし、健康には気を付けてくださいね。

「はよー」

「あ、おはようございます」


 今日は星那さんが先に教室に来ていた。


「カイト、えっとねー」

「なんですか?」

「宙音が『ありがとうございます、元気出ました』だってー」

「宙音さんが?」

「あと『機会があればまた遊びましょう』だって」

「えっと、機会があればこちらこそお願いします、と伝えてもらってもいいですか?」

「んー、宙音の連絡先いるー?」

「勝手に教えちゃダメですって」

「カイトならだいじょーぶ!」

「ダメです」

「えー? 大丈夫だってー」

「ダメですよ。せめて確認とってください」

「もー、かたいなー……んー?」


 スマホを手に持った後、星那さんが首を傾げた。


「どうしました?」

「えっとねー、初華が『今日は熱が出たので休みます』だってー。グループにきてる」

「え、本当ですか?」


 全然気が付かなかった。


「あー、もしかしてうつしちゃったかな……」

「どういうことですか?」

「んー、宙音も今日休みなんだー」

「宙音さんもですか?」

「そー。理由教えてくれなかったけど、風邪だったのかなーって」

「そうだったんですか。気を付けないとですね」

「だねー」



\\\



「ね、カイトー?」

「なんですか?」

「お見舞い、いかない?」

「お見舞いですか」

「初華の家しってるからいこー!」

「それは、どうなんでしょう?」

「えー? いこーよー……」


 放課後は、配信まで時間はあるのでいいんですけど……


「あ、いいってー」

「何がですか?」

「カイトとお見舞い行くって送っといたー」

「星那さん……」

「じゃ、放課後は初華の家ねー」



\\\



「……ごめんなさい。助かりました……」

「大丈夫ですか?」


 初華さんは一人暮らしのようで、今この場には俺と初華さんの二人だけ。

 星那さんは、宙音さんも今日休んでいると聞いた初華さんに言われて家に帰ってしまった。


「食べれますか……?」

「……ごめんなさい」

「大丈夫ですよ。熱測りました?」

「……8度6分でした」

「何かしてほしいことありますか?」

「……」


 結構きついからか視点が合っていない。

 何かしてあげたいんだけど……


「……手を握ってください」

「わかりました」


 風邪の時は心細くなるって言いますもんね。


「冷たくて気持ちいいです」


 頬に手を擦り付けて気持ちよさそうにしている。


「このまま寝てもいいですか?」

「はい。ゆっくり休んで元気になってくださいね」

「はい……」


 すぐに寝息が聞こえてくる。

 あまり体調を崩した経験はないのだけれど、小さかった時に風邪をひいたときは本当につらかった。

 早く治るといいんだけど。

 

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