第36話 テスト勉強と炎上

「あぁ……」

「どうしたんですか?」


 星那さんが椅子に座った瞬間にため息をついた。顔を机につけて、腕はこちらに伸ばしてきた。その体勢のまま顔だけあげた。


「ほらー……来週テストじゃん……」

「あー、そうですね」

「やだよー……勉強したくないよー……」

「毎回ぎりぎりになって慌ててるんだから……」

「ってことで」


 星那さんは勢いよく体を起こした。


「勉強会しよー!」

「勉強会ですか?」

「そう! 初華ってね、いっつも一桁とかなんだよ!」

「すごいですね」

「そんなことないですよ」

「そーそー、毎回そんな風に言うんだよね」

「海斗くんはどうですか?」

「毎回平均点くらいです」

「じゃー、私と一緒で教えられる側だねー! 仲間仲間ー!」

「そうですね」


 腕が伸びてきた。そういえば、ハイタッチも俺の勝手な陽キャのイメージから、星那さんも付き合ってくれてるようになったんだよね……ぺちぺち。


「星那は赤点取ってばっかりなんだから仲間扱いしない」

「それで、いつにする? いーつーにーすーるー?」

「勉強会ねぇ……」


 初華さんがこちらを見てくる。


「明日はどうですか?」

「私はいいよー! 初華は?」

「部活もテスト前はないから大丈夫」

「うちでいいー?」

「図書館でいいんじゃないですか? 近くにありますし」

「えー、しゃべれないじゃーん」

「勉強するんだからいいでしょ……」

「お菓子も食べれないしー」

「遊ぶつもりじゃない……」

「日曜あそぶから明日は頑張るー!」

「いや日曜も勉強しなさいよ」

「ねーカイトー?」

「え?」

「今週もあそぼ―ねー」

「巻き込まない」

「ごめんなさい。その……土曜に配信あるので……」


 日曜で追い込むしかないんです。


「えー! じゃー、テスト終わったら、どっかいこ! おつかれさまーってかんじで」

「そうですね」

「そうですよね。テスト前も配信あるんですね……」

「明日の放課後、星那の家ね。それより、はやく食べ始めないと時間足りなくなるわよ」

「え、そうじゃん! 食べるの忘れてた!」



\\\



夜の挨拶配信を終えて、片づけをしていると海菜が部屋に入ってきた。


「兄ちゃん」

「海菜? どうかしたのか?」

「まだ寝ないよね~?」

「そうだね。あと30分くらい?」

「そっか~。えっと、先週コラボ依頼きたっていったでしょ~?」


 先週……宙音さんのことか。


「断って正解だったよ~」

「ん?」

「ほら、銀河水玉っていたでしょ~?」

「うん。覚えてるけど……断って正解って?」



「今、炎上してるんだよね~」

「え……?」


 え、炎上?

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