第37話 いつもと変わらない朝の教室
「な、なんで?」
「ん~?」
「なんで炎上してるの?」
「え、あ~……まあ、大したことじゃないよ~?」
「うん」
「なんかね~、配信時間に結構遅刻したのと、配信で男の声が入ったんだって」
「あー……そういうの」
遅刻はまあ、あれだけど、男の人の声でってのは女性のVtuber特有だなぁ……
「でも、すぐ収まると思うよ?」
「あ、そうなんだ」
「どっかにさらされたとかで炎上してるってなってるけど、明らかに若い声じゃないから~。父親とかそんなところかな~? 遅刻はそれだけじゃ大して炎上する理由になんないし~」
「そっか。よかった」
「よかった?」
「いや、何でもない」
「あ~コラボとちょうど被るかもしれなかったからね~。断っといてよかったよ~」
「まあ、今週はまだイワシ子ちゃんがあるからコラボしなかっただろうけど。もしかしてそれを伝えに来てくれたの?」
「ううん、寒いから一緒に寝ようかと思って」
「そっか」
\\\
「はよ!」
「おはようございます」
「今日は放課後勉強会だね!」
「はい。しっかりテスト勉強しましょうね」
「もー! 真面目かー?」
「テスト前くらい真面目になりましょうよ……」
「わー、そういうこと言っちゃうんだー?」
「おはようございます」
「あっ、初華ー、はよー」
「おはようございます」
「星那、課題やったの?」
「え、課題なんてあったー?」
「3時間目の化学」
「あー! なんか問題集の提出あった気がするー!」
「今からやれば間に合うんじゃない?」
「もー! 初華はなんで毎回提出の朝言うのー!? 前の日に言ってよ!」
「毎回あてにされても困るじゃない」
「それくらいいいでしょー! 友達じゃないの!?」
「留年しても友達よ」
「もー!!」
星那さんは席に戻っていった。
「改めておはようございます、海斗くん」
「おはようございます」
「あの……」
初華さんが顔を近づけてくる。
「(星那の妹の、宙音ちゃんのこと知ってますか?)」
「(はい。ちょっと燃えちゃってるみたいですね)」
「(あの様子だと、星那は知らないんでしょうか?)」
「(もしそうなら宙音さんが伝えてないってことですよね)」
「(そうですね。私達もしばらく話題に出さない方がいいかもしれません)」
「(そうですね)」
顔を離す。
「では、そろそろ時間になりそうなので、私も席に戻りますね」
「はい」
初華さんは席に戻ったが、周りの視線はこちらに集まったままだった。俺も教室の中で顔を近づけている男女がいたら、何をしていたのかと見てしまいそうだ。諦めて顔を伏せた。
\\\
席に座り、考える。
い、いまの! 実質囁きボイスなのでは!?
なんで私は録音しなかったの……もう今後あるかわからないのに……
一生分の運を使い切ってしまったかもしれない。
脳内リピートしていましょう。どうか誰も、邪魔しないで。
あ、海斗くんならおっけーだけど。
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