第28話 おじゃまします
「あがってあがってー」
「おじゃまします」
星那さんの家にやってきた。
「カイトもはいってはいってー!」
「……おじゃまします」
「はーい」
\\\
「ちょっとまっててねー」
星那さんが出ていき、初華さんと二人で星那さんの部屋で待つことになる。
「……」
「もしかして、緊張されてますか?」
「そうですね、すこし」
まだ初華さんがいてくれてよかった。
「でも、どうしたんでしょうね。星那はあんまり家に呼ぶことないんですけど」
「そうなんですか?」
「私も1回か2回か、そのくらいしか来たことありません。それも遊びに来たわけじゃありませんでしたし……」
「おまたせー」
お盆とゲーム機を持って戻ってきた。
「なに話してたのー?」
「星那の部屋に久しぶりに来たなって」
「そーだっけー? いつでもきてー!」
星那さんはテレビにセットしながら答える。
「それ、P5Sですか?」
「そーだよー。妹から借りてきたー」
「妹さんいるんですか?」
「いるよー! 一つ下!」
「そうなんですね。うちにも妹います」
「え、カイトって妹居たんだー? いくつ?」
「同じで、一つ下です」
「そーなんだー! いつか会うかなー?」
「どうでしょう」
「名前なんて言うのー?」
「海菜です。『海』に菜の花の『菜』で海菜です」
「……かなちゃんかー」
「初華さんは、一人っ子ですか?」
「正解です。よくわかりましたね?」
「なんとなくですけど」
しっかりしてるから下にいるかと思ったけど。
「かなちゃんってカイトに似てるの?」
「俺にですか? 似てはいない? いえ、どうなんでしょう?」
正確とかは似てる方なのか?
「宙音ちゃんは星那とは全然似てないって聞いたけど」
「そうだよー。すっごいさばさばしててー。反抗期ってやつかなー?」
「宙音さんって言うんですね」
「そーだよー。呼んでこよっかー?」
「わざわざいいですよ」
「私たちの中に宙音ちゃん一人じゃ、かわいそうでしょ」
「そーかな? 宙音寝てたし暇だと思うよー?」
「休日くらい休ませてあげなさいよ」
「そっかー」
「あれ、さっき借りてきたっていってませんでしたか?」
「聞いたらいいよーって。寝ぼけてたけどー」
「いいんですかそれ」
「いいよー。だめだったら謝っとくしー」
「……妹さん、結構ゲームしてますね」
かなりの数のゲームが並んでいる。
「ずっとゲームしてるからねー。これにするー?」
星那さんが選んだのは上から様々な色の生物のような何かがおちてくるゲーム。くっつけると消えて相手側にブロックを落として邪魔ができる。
「やったことあるー?」
「私は少しだけ」
「やったことあります」
「初華は一つレベル落として、と。じゃ、やろー!」
\\\
「星那ー、そろそろ……」
「え、おかーさん!?」
声に振り返った星那さんは、そのまま謎の生物が積みあがってゲームオーバーになってしまった。
「おじゃましてます」
「初華ちゃんと、カイト君よね。いらっしゃい。邪魔しちゃったかしら」
「もう帰ってきたのー?」
「とっくに帰ってきてたわよ。ご飯だから呼びに来たんだし」
俺と初華さんが同時に時計を見た。7時半を過ぎたところだった。
「そろそろ帰らないと!」
「そうですね、私も……」
「二人とも食べていくと思って用意しちゃったわ……」
「え、わざわざすみません……」
「もしかしておうちで用意されちゃったりしてるかしら」
「せっかくだから一緒に食べようよー」
星那さんの言葉に初華さんと顔を合わせる。二人して苦笑いを浮かべた。
「ちょっと連絡してきます」
「私もちょっと」
そういえば、連絡来てないな。
「もしもし、母さん?」
「ようやく連絡来たわね」
「ちょっと友達の家で遊んでて」
「時間忘れてねー? へー」
「……なに?」
「いいえー。それで、ご飯どうするの? うちで食べるならあっためとくけど」
「いや、用意してくれたみたいで」
「そう。今いるなら変わって? お礼言わなきゃだし」
「あ、そっか」
部屋に戻ろうとしたタイミングで初華さんもスマホを片手に部屋に戻ろうとしていた。
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