第18話 朝はパン! 昼もパン!
「はよ! 今日も元気ないー?」
「おはようございます。そんなことないです」
「そーいえばさー、はい!」
スマホを差し出され、その画面にはQRコードが映されていた。
「なんですか?」
「連絡取れないじゃん?」
「……そうですね」
断るのも悪いし。
「……できました?」
「んー、おっけ! カイトっと」
俺の方も『せなさん』と登録すると早速メッセージが来ていたので、よろしくお願いします、と返したところで初華さんも登校してきた。
「おはようございます」
「はよ! カイトと連絡先交換したー」
「いいですね。私もお願いします」
「……はい」
もう何年も変化のなかった『友達』欄に二人も増えた。0が2に……改めて考えると0ってすごくない? やばくない? つらい。
\\\
『今何やってるー?』
スマホの振動で画面を見れば、星那さんからメッセージが届いていた。今授業中なんだけど。
『無視?』
『授業中なんですけど』
『カイトってこっちでも敬語なんだ?』
先生が見ていたのでポケットにスマホを仕舞った。
何度かふるえていたが、しばらくしていたら動かなくなった。しかし、案外スマホのバイブ音は周りに聞こえるらしく、先生は気づいていなかったものの、隣に座る生徒から迷惑そうな目で見られた。俺が悪いです、ごめんなさい。
\\\
『今日のお昼は空き教室ね!』
そんなメッセージが来ていた。流石に無視するのは星那さんに悪い。周りの目は少し気になるけど、どっちにも気をつかってられない。
「いっくよー!」
「……」
無言で教室から出ようとしたのに結局星那さんに引っ張って連れてかれた。
「星那、授業中にスマホはやめなさいよ」
「バレてたー?」
「わかるに決まっているでしょ、目の前でごそごそやってるんだから……」
「ごめんてー」
「……」
「ん? カイト……あー気づいた?」
星那さんはパンではなくお弁当を持っていた。
「妹にめっちゃ頼んだら作ってくれてー、いやー、頼んでみるもんだね!」
お弁当箱の蓋を開けると切られたパンが入っていた。
「……」
「……星那さんのパンって購買で買ってるんじゃなかったんですね」
「そこじゃなくない!? え、いじめられてんじゃん!?」
「関係性がわかるわね……」
「違うから!? 普通に仲いいからね!?」
星那さんは丁寧に箸を使って切られたパンを食べていた。
「そーいえば、カイトってあんまり話しかけてほしくないかんじ?」
「そんなことないですけど……」
「じゃあ、教室で普通に話してもいい?」
「まあ……」
「いやならはっきり言ってね? 私そういうの察したりできないから!」
「私も、正直に話してほしいです」
「あの、えっと、大丈夫です」
「ま、話しかけるけどね!」
今更クラスの視線とか考えても仕方ない、と思い込むことにしよう。
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