第5話 インスタントじゃなくドリップをくれとか言うな


さてさて、オレが部屋で田嶋の分もドリップコーヒーを入れているころ、

日曜の清々しい朝に相応しい爽やかな相談事が二階で行われていた…笑


今日は秋晴れの良い天気や、植物に水早めに撒いとこう。

ここで人物紹介でもしとこうか


大家のオレは29才。小太りだ…髪は染めていない。顔は…至って普通。大家として建物のメンテナンスを行っている。数年前に内装はリフォーム工事をした。アパートの通気やら、シロアリやら警戒して断熱材など新しいのをいれた。うんうん♪さらにええ感じやで。花壇なんかもある。一部は趣味の範囲で野菜。川町に相談して花壇は少し広くした。男ばっかだから花に癒されとるなぁ。花壇の近くにはこじんまりと小さな社もある。手入れは大変だがのんびりだし苦にはならんな。オレの部屋は一階にあるで。大家らしく部屋は広いぞ。寝室もオレの好みで畳敷きで和風。部屋は冬になったら炬燵にみかんや。


101号、田嶋。…寡黙とか言ったが、結構しゃべる。あと、独占欲強かったんやな…。髪はスポーツマンっぽく短い。180cmでガタイが良い。川町が小さいから余計にでかいの目立つな。やりとり見てたら、手名付けられたドーベルマンだった。惚気をサラッと言いよる、控えてほしいわ。


102号、菊市。オレの兄弟みたいなもんだ。31才。髪は長めで一つに縛っている。体の線は細い。色素が白くて薄い。キレイ系の性格キツめ…。普段は人当たりがよく、優しーく接しとる。が、谷村には容赦ない。わりとワガママいいよる。谷村は後で紹介しよう。以前は家庭教師をしとった。今はお休み中。最近は調子が悪いみたいやな…。


そして2階

201号室、小松。黒髪の可愛らしいきれいな子だ。22才、大学生。ゆくゆくは大学院まで進むんかな?大人しい、そして人に触られるのは苦手なようだ。変態さんに好かれそうやからなぁ…。一柳荘の住人には少しずつ触っても平気になってきてはいる。風邪の時とか一人だと大変やからな。大人しいが、芯はしっかりしている。川町とは気が合うようだ、仲はいい。


202号室、明智。本屋で働いている25才。おっとりとした不思議君。チャラい系に見えるけど。霊感が若干あり、場の空気が悪いとぶっ倒れる。このアパートもぶっ倒れない所を探したら辿り着いた結果だという。たまーにぶっ倒れとるんやけどなここでも(笑)。髪は少し天パー入って、茶色。ちょっとごわごわしてんのを本人も気にしとる。うーん、身体はそれなりに鍛えとる?か?


203号室、谷村。24才の爽やかくん。鉄工所で働いとる細マッチョ。一部リフォームでは世話になったな。髪は金髪、人懐っこいさっぱりした性格…だが、思い込んだら一途に行動。直感が鋭いのもあるが、直感で行動する、菊市を追いかけまわしとる。菊市にキツめの一言を貰いつつもにこにことめげない…こわっ。


204号室はないで?人が入らんかったら困るし、作らんかった。

205号室、平野。こいつもサラリーマンで22才。真面目。真面目過ぎやからいろいろ溜め込んでないとええな。人を笑わせたりとかお笑い好きなようだ。髪は明るめの茶色、落ち着いた雰囲気もある。こいつは小松と付き合っとる。小松も触っても嫌じゃなかったようで、平野も大切にしとるようや。因みに一柳荘公認カップルである。特に問題も起きてへんしいいやろ。

あ、…パカップルが一組増えたな…。


206号室、川町。純粋培養な子だ。あまり、物を欲しがらないようだ。感情にストレートに行動してしまうようで、後で反省しているらしい。素直でええと思うんやけどな。髪はうす茶色で短髪。髪質はねこっけでふわふわしとる。本人もふわふわな感じやな。


ざっとこんなもんか。コーヒーも余っとるし、次はカフェオレにしよう。



201号室では 小松がすんすんと泣いていた、それを見守る明智と菊市。


小松に相談に乗ってほしいと言われ部屋へ来たものの、話にくいようですんすんと泣き出してしまった。程なく、菊市さんに応援を頼み来てもらったが…まだためらっているようだ。話そうと息を飲むのだが、しゅんとなってしまう。どーしたものか。


「小松、…何があったの?菊市さんにだったら話せたりしない?」

「…あ…、ごめ…んなさい」

小松が鼻をすする。

「…平野くんもいないし…」

菊市が腕を組んでため息をつく


「平野くんは…ダメっ!!」

小松が顔を上げて声を荒げる。

「あ、そーなの?」

明智はテーブルに肘をつき、長くなりそうだなと思った。


廊下をぱたぱたと音がし、ノックして勢いよくバンっ!とドアが開いた。

「小松くん!聞いてっ!聞いて!…って小松くん!?どうしたの!?」

「明智に呼ばれたはいいんだけど、私たちにも話してくれなくてね…」

「小松くん、大丈夫…?」


「うん…、あ…あの…」

「うん?」

小松が川町を見て申し訳なさそうに聞いた。


「男同士で付き合ってるって皆んなどう思ってる…?」



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