婚約破棄ばかりする王女
一ノ瀬 彩音
第1話 壱
王女セキュアと貴族王子ライダンは今、
セキュアのお部屋の中でお話しているのです。
「ライダン、本当にごめんなさい」
「ごめんなさいってどういう事だ?」
「婚約を破棄させてもらいます」
「いやいやっ、セキュアは俺にご恩があるだろ」
「はいっ、ご恩がある事は忘れていません」
「ならどうして婚約を破棄するんだよ、やめてくれよな」
「いいえっ、やめるわけにはいきません」
「くそぉっ、恩を仇で返すのかよ、本当に最低な女だな」
「そう言われても仕方がありませんね」
「なぁ、婚約を破棄する事を考え直してくれよな」
「それは出来ません」
セキュアの意志は強くてライダンがいくら言ってもダメみたいな感じですから、
ライダンはどうするのでしょうか?
「この通りだ、婚約を破棄するのはやめような」
「やめません」
「やめような」
「やめません」
このままでは本当にライダンは婚約を破棄されるという結末を迎えるのですけど、
それでは婚約している意味がないのですから、やっぱり婚約を破棄するというのは
止めないといけないライダンだったのです。
「セキュア、婚約を破棄するのはやめないか?」
「何度言われてもやめません」
「恩を仇で返すのは非常識だと思うけどな」
「こうなったら非常識でも構いません」
「どうしてそこまでして婚約を破棄したいんだよ」
「ライダンとは年が離れているし、相性も悪いから
嫌なのです」
「そうなのか、それならしょうがないな」
「ですよね」
「まぁ、セキュアがそこまで婚約を破棄するというのなら
もう止めないよ」
「わかって頂けてありがとうございます」
「こちらこそ、セキュアには苦しい思いをさせていたようだ」
「はいっ」
「まあ、頑張れよ」
「はいっ」
ライダンはセキュアに背を向けるとそのまま歩き出して行くのですけど、
セキュアはどんどん離れていくライダンの背中を見ているだけだった。
こうしてセキュアとライダンの恋愛は終止符になるわけですけど、
それでもセキュアは後悔していませんし、どっちかというと
重荷が外れたので安心しているのです。
そして、早2年。
王女セキュアは未だに王女ではあるのですけど、風の噂で
貴族王子ライダンが王様になったのですけど、王様として失態ばかりを
犯していたらしいのです。
そのせいでライダンは王様から降格するとただ単に使用人になり、
使用人として働いているそうです。
セキュアは心の中ではどんな風に思っているのかは
知りませんけど、あんまり関係ない事ですので
気にしていません。
『貴族王子ライダン、ざまぁないわね』
セキュアはもうライダンとは関わる事もないし、今では新しい恋愛をしているのですから、
順調に交際も進んでいるのです。
それでも安心感があるかどうかと言われるときっとないと思います。
セキュアはセキュアなりに必死に恋愛をしているのですから、
きっと幸せを掴めると思います。
『私はこの恋愛で幸せになって見せるっ!?』
しかし、セキュアは幸せになる所か、お相手から婚約を破棄されるという結末を迎えているのですから、
王女としては幸せにならないと良くないし、何故、幸せになれないのかなって考えているのです。
結局、王女セキュアは恋愛しても婚約を破棄するや婚約を破棄されるというのを10回以上も
されているのですから、本当に誰も恋愛するお相手はいなくなり、セキュアは
独女として生きて行く事になったのでした。
婚約破棄ばかりする王女 一ノ瀬 彩音 @takutaku2019
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます